共にIoTを実現する: 日清紡マイクロデバイス社とインフィニオン、世界最小クラスのレーダーモジュールを製造

IoTの未来を形作るには、高品質で全体的な製品やソリューションのポートフォリオが必要なだけでなく、お客様、販売代理店、エコシステム パートナーとの長期的で信頼できる関係を築き、すべてのプレイヤーに最適な結果をもたらすことが必要です。なぜなら、IoT実現に向けた画期的なイノベーションは、これらステークホルダーのみなさんとの協業によって初めて生み出すことができるからです。だからこそ、本エピソードで私たちのパートナーのお一人をここにお迎えすることを大変嬉しく思います。日清紡マイクロデバイス株式会社とインフィニオンの協業により、世界最小クラスのレーダー モジュールが実現しました。このソリューションの背景やどんなことができるようになるのか、お話を伺っていきたいと思います。



トランスクリプト

ゲスト スピーカー: 

  • 日清紡マイクロデバイス株式会社 マイクロ波事業統括本部 商品企画部 商品企画二課 課長 保坂 浩司 氏
  • インフィニオン テクニカル ジャパン パワー&センサー システム事業本部 センサー システム&IoT部 エキスパート 高橋 秀暢

公開日: 2022年4月11日

 

モデレーター:

モノのインターネットの可能性はよく知られています。しかし、実際にはどのように導入すればよいのでしょうか。人々や企業はどのようにしてその恩恵を受けることができるのでしょうか。このポッドキャスト シリーズでは、2週間に1度、インフィニオン社員やパートナー、お客様企業の専門家にお会いして、IoTがどのように機能するのか、IoTを機能させるためには何が必要なのかを解説いただいております。私は、インフィニオン ジャパン広報渉外グループの春原 慎一です。このような素晴らしい機会をいただき、皆さんとポッドキャストを共有できることをうれしく思っております。

IoTを実現するには、高品質で包括的な製品・ソリューション ポートフォリオが必要なだけではありません。IoTの未来を形作るには、すべてのプレーヤーにとって最適な結果が得られるよう、お客様企業やディストリビューター、エコシステム パートナーとの長期的で信頼できる関係を築くことも重要です。

なぜなら、IoT実現に向けた画期的なイノベーションは、これらステークホルダーのみなさんとの協業によって初めて生み出すことができるからです。だからこそ、本日ここにパートナーのお一人をお迎えできたことを大変嬉しく思います。本日、日清紡マイクロデバイス社からお越しいただいたのは、マイクロ波&ミリ波センサー事業部 課長の保坂様です。本日はご参加いただきありがとうございます。

保坂氏:

ご招待いただきありがとうございます。

モデレーター:

また、インフィニオンのレーダー製品担当システム アプリケーション エンジニアの高橋さん、ご参加ありがとうございます。

高橋:

お招きいただきありがとうございます。

モデレーター:

保坂さん、まだ日清紡マイクロデバイスさんをご存じないリスナーのみなさんに向け、保坂様、貴社の会社とその活動について簡単にご紹介ください。

保坂氏:

日清紡マイクロデバイスは、電子デバイス製品とマイクロ波製品の両方を製造する数少ないメーカーです。電子デバイス製品すなわちICを中心に事業展開しております。もう一方のマイクロ波製品は、電波を使用したレーダー、通信機器、センサーを展開しております。IoTの実現に欠かせないアナログ回路設計のノウハウを持ち、長年培ってきたマイクロ波技術と先進の半導体技術を融合させ、市場の新たなニーズに応える製品を開発しています。

日清紡マイクロデバイスは新日本無線とリコー電子デバイスが今年の1月に合併し、社名を刷新して新たなスターを切った会社です。今後とも宜しくお願いします。

モデレーター:

昨年4月、日清紡マイクロデバイス社とインフィニオン ジャパンは、新しいレーダー ソリューションを共同開発するためのパートナーシップを締結しました。高橋さん、その経緯を教えていただけますか?

高橋:

60GHz帯のレーダー センシングは、非接触で高精度な計測を特徴とするソリューションです。高度なIoTアプリケーションに対応するために、より小型で低消費電力のレーダーが市場から求められていますが、インフィニオンは早くからこの課題に取り組んでおり、この度、日清紡マイクロデバイス社との協業により、非接触型高精度60GHzレーダー モジュールを開発いただきました。

インフィニオン ジャパンはすでに、日清紡マイクロデバイス社と24 GHzレーダー事業で協業の実績があります。日清紡マイクロデバイスさんは、電子デバイスやマイクロ波技術を活かしたマーケットをリードするアナログ ソリューションを提供しています。その点からインフィニオンは日清紡マイクロデバイス社をモジュール メーカーのパートナーとして選択させていただきました。今回インフィニオン ジャパンと日清紡マイクロデバイス社とで、世界最小クラスのレーダー モジュールの開発に向け共同でプロジェクトに取り組むことになりました。

モデレーター:

世界最小クラスのレーダー モジュール、それは素晴らしいですね。しかし、それがどのように機能するのか、そしてこのソリューションの背景にあるものは何なのか、リスナーに説明してもらえませんか?

高橋:

はい、今回新たに開発したのは、60 GHzレーダー スマートセンサー マイクロ モジュールです。日清紡マイクロデバイス社の60 GHzレーダー センサー モジュールは、インフィニオンのXENSIV™「BGT60TR13C」MMICPSoC™ 6マイクロコントローラーを搭載してモジュール化されたターンキー ソリューションです。ハードウェアだけでなくソフトウェアも含めたトータル ソリューションとなっており、人の検知や入退室管理などの用途に使用することができます。

保坂氏:

また、レーダーを使用するためにはアプリケーション毎に電波法認証を取得する必要があり、この認証を取得しないとレーダーを使用することができません。この認証は、メーカーもしくはエンドユーザーがアプリケーションごとに取得する必要があり大きなハードルとなっていましたが、今回のレーダー モジュールではメーカーである日清紡マイクロデバイスにて電波認証が取得済みとなっており、簡単に使うことができます。

モデレーター:

これこそ「共にIoTを実現する」ということですね。今回のコラボレーションはより具体的にどのようなものですか? どちらがどんな責任を担うのですか?

保坂氏:

60 GHzレーダー センサー モジュールは、インフィニオンのリファレンス デザインを使用して日清紡マイクロデバイスが電波法の認証も含めモジュール化し、弊社が販売します。ちょうど先月よりサンプル出荷を開始したところです。

モデレーター:

この共同ソリューションは、お客様にとってどのようなメリットがありますか?

保坂氏:

このセンサー モジュールは、レーダーを使った次の4つの強みがあります。

  • 1つ目は、プライバシー侵害を最小限に抑えた点です。現在カメラを使って人やその動きを検知する製品が販売されていますが、映像を記録するということでプライバシーの問題が懸念されています。一方レーダーは、人の動きを検知しますが実際の映像は記録しません。
  • 2つ目は安定性です。レーダー センシングは、温度変化などの外的要因の影響を受けにくいという高い堅牢性と安定性を持っています。温度の影響を受けやすい赤外線などのセンサーに比べ、レーダー センシングは設置環境を選ばずに使用することができます。
  • 3つ目は暗闇での動作です。暗い場所ではカメラではターゲットの動きを検知できないことがあります。レーダーは明るさの影響を受けないので、カメラでは検知しにくい暗い場所でも検知することができます。
  • 4つ目は最終製品のデザイン性です。レーダーは物質透過性があるので、パソコンやテレビのベゼルに設置することができます。また、10 mm x 13.4 mm x1.2 mm角と非常に小さいのでさまざまな製品に搭載設置することができます。そのためデザイン性の高い製品開発が可能となり、スタイリッシュでユーザー フレンドリーな製品の提供が可能です。

 

モデレーター:

では、60 GHz帯レーダー標準モジュールはどのような分野で使用できるのでしょうか?

高橋:

新型コロナウィルスによるパンデミックのような状況下では、人の動きをコントロールすることが求められています。これをIoTで制御することがトレンドになっていますが、それに伴い、情報を感知するセンシング デバイスの需要も高まっています。この市場は現在、カメラや赤外線を使ったものが主流ですが、レーダーを使ったソリューションも加わり、ますます活発化しています。

今回開発したこのセンサー モジュールは、スマートホームやスマートビルディングのIoTセンサーとして従来のカメラや赤外線に代わって使用することができます。人検知の用途では、IoTやAI技術を搭載したスマートホームなど、室内に設置・配置することで人の存在や動きに反応し必要な制御を自動的に行うことができます。たとえば、パソコンやテレビに取り付ければ、パソコンの画面や照明のオンオフを自動的に制御することができます。人の存在や動きがインターフェイスになるというわけです。

モデレーター:

もしリスナーがこのモジュールについてもっと知りたい場合どうしたらいいですか?

保坂氏:

製品の詳しい情報は日清紡マイクロデバイスのWebサイトをご覧ください。また、ご購入は当社の販売代理店までお問い合わせいただきたいのですが、販売代理店の詳細も当社のWebサイトをご覧ください。

リンク先は本ポッドキャストのトランスクリプト ページに掲載していますので、リンクをクリックして詳細をご確認ください。

モデレーター:

「We commit. We Partner. We innovate. We perform.」これはインフィニオンの企業ビジョンですが、今回の両社のパートナーシップはまさにこのビジョンを示したものになっていますね。「共にIoTを実現する」ということを示す、このエキサイティングなプロジェクトについてご紹介いただいたゲスト スピーカーのお二人に感謝します。ありがとうございました。

これで今回のエピソードは終わりです。リスナーの皆様、より詳しい情報はinfineon.ioをご覧ください。