インフィニオンテクノロジーズが300mmウエハによる半導体の量産を開始
独インフィニオンテクノロジーズは本日、300mm(12インチ)シリコンウエハ技術を用いた半導体の量産を公式に開始しました。200mm(8インチ)技術を用いている他のメーカーに先駆けて、世 界で初めて300mmウェハによる量産を開始したことにより、インフィニオンは、半導体業界における技術および生産コストの両面でリーダーシップをさらに広げました。3 00mmウエハは200mmウエハの約2.5倍の個数のチップが得られ、生産コストは最大30%も有利になります。これに加えて、現在進めているデバイス微細化(構造幅0.14μmへの転換)により、最 終的に生産コストをさらに30%低減できる見込みです。ドレスデン工場でのDRAMチップ生産コストは、0.17μmプロセス技術および200mmウエハを使用した場合と比べ、ほぼ半減されることになります。イ ンフィニオンは、2002年にはDRAM需要(総ビット数ベース)が2001年よりも50%増加するものと予想しています。
インフィニオンテクノロジーズの社長兼最高経営責任者(CEO)ウルリッヒ・シューマッハーはドレスデンでの国際記者会見で、「明日の半導体市場で優位に立とうとするなら、シ リコンサイクルに対抗した投資をいま積極的に行うべきです。インフィニオンは、ここドレスデンで、最大サイズのウエハを用いて最小のチップを最小限のコストで生産できる技術への投資を実行しました。業 界で定評のある当社のコストリーダーシップは、さらに大幅に強化されます。生産性の飛躍的向上で、競争において技術的に15カ月以上先行し、変 動にさらされやすい半導体市場で抜群の柔軟性を確保することができます」と、述べました。
インフィニオンテクノロジーズの取締役兼最高執行責任者(COO)アンドレアス・フォン・チッツェビッツは、「300mmウエハによる量産開始は、当社のみならず、半 導体業界全般の生産に新次元を拓くものです。当社は300mmウエハ技術で新しいスタンダードを確立しました。インフィニオンは明らかに、この方面でのトレンドセッタです。また、ド レスデンでのこのすばらしい偉業はザクセン州の技術革新能力を実証するものでもあります。ドレスデンのチーム・メンバーの80%以上はこの地域の出身者です」と、述べました。
インフィニオンのドレスデン工場では現在、約4,300人が働いています。うち800人余りが300mm生産工程に携わっていますが、今後の能力増強によりさらなる増員が図られることになるでしょう。イ ンフィニオンはこれまで、ドレスデンの300mmウェハ生産に約11億ユーロの投資を行いました。他に、半導体製造施設の設計施工スペャシャリストとして国際的に知られたM+Wツァンダー社が5,100万ユーロ、 見本市専門会社のライプチガー・メッセ社が1億1,800万ユーロをこの300mm生産工場に投資しました。
ドレスデンの300mm工場では当初、生産工程へのウエハ投入を月あたり約11,000枚とする計画です。世界半導体市場の動向によっては、2 002年末までに生産能力を16,000枚まで増強することが可能です。300mm工場の最大生産能力は約25,000枚です。
ドレスデンの300mm工場ではまず、PCやサーバの標準部品である256Mビット・メモリチップから量産を開始します。このDRAMは業界最小の256Mビット・チップであり、6 4平方mmを切るスペース内に約5億4,000万個の素子(トランジスタおよびコンデンサ)を含んでいます。インフィニオンはまた、次世代大容量メモリである512 MビットSDRAMのPC業界の戦略パートナーへのサンプル出荷を開始し、この方面でも業界をリードしています。
半導体チップ生産において300mmウエハでは、200mmウエハの約2.5倍の有効面積を使用できます。0.14μmプロセスを用いてドレスデンで生産される半導体は、構造的に、先 行世代0.17μmより約30%小型化されます。チップ構造の小型化と、ウエハの大口径化により、インフィニオンはウエハ1枚あたりほぼ3.5倍のチップ生産が可能になります。この技術的快挙により、生 産コストで国際的に対抗できる競争力が生まれます。
インフィニオンのチップは、先進的なトレンチセル技術を用いることにより、競合技術と比べて、同等な容量のDRAMを15~20%小さいサイズで生産できます。チップ上の個々のメモリセルは、1 個のトランジスタと1個のコンデンサで構成されます。たとえば、256MビットSDRAMは、約5億4,000万個のトランジスタおよびコンデンサで構成されます。ト レンチセル技術ではメモリセルはチップ上に垂直に配列されるので、省スペースとなります。その結果、インフィニオンは他社と比べて、同じサイズのウエハで最大20%も多くDRAMチップを作れます。
この256MビットSDRAMは、インフィニオンのDRAM製品全ラインナップを技術的にグレードアップする皮切りとなります。その結果、インフィニオンは実質的に、す べてのメモリ製品を同じプロセス技術で生産できるようになるので、長期的に新しいスケールメリットを発揮できるようになります。
インフィニオンの主要顧客企業が昨年夏から、0.14μmプロセス技術をベースとするこの256MビットSDRAMのサンプルについてテストを行ってきました。イ ンテル社や主要PCメーカーはすでにこの新メモリチップの評価試験を成功裏に終えています。
インフィニオンのドレスデン工場は欧州最先端の工場の一つです。工場の定礎式は1994年6月に行われました。インフィニオンは1998年にモトローラとの合弁事業の一環として、3 00mmウエハ技術の開発に着手しました(その合弁事業は、計画通り2000年9月に解消されました)。ドレスデンのパイロットラインの運転が成功した後、1 999年9月から300mmウエハによる64MビットDRAMの顧客企業向け出荷を開始しました。
より大口径のウエハへの転換は、インフィニオンの生産技術にとって重要な意義を持った挑戦です。たとえば、標準的な炉でウエハを加熱すると、結晶格子に高いストレスがかかり、シ リコン中の材料欠陥が生じやすくなります。インフィニオンは300mmウエハ生産にヒートランプを採用しました。ヒートランプはウエハの上部のリアクタ内に置かれ、加熱・冷却機能を最適に維持します。ウ エハの大きさや重さは手作業には適さないので、ウエハの搬送工程はすべて完全自動化されています。特筆すべきこととして、FOUP(front-opening unified pod)技術の採用で新しい「 超クリーンルーム」を実現したことも挙げられます。その結果、クリーンルーム内で個々のウエハ・キャリアがさらにクリーンルームカプセルの役目をして、所定の空気純度が確保されます。
インフィニオンのメモリデバイスは、業界でも独特の幅広いラインナップを持っています。標準的なPCやサーバ用のメモリチップから、ネットワークインフラシステム用の超高速メモリチップ、さ らにはバッテリ電源式コンピュータや電子機器に用いられる低リーク製品に至るまで、多岐にわたります。さらに、コンピュータグラフィック、携帯電話、PDA(携帯情報端末)な どへ向けた専用メモリチップも生産しています。
インフィニオンは最終的には、300mmウエハ技術をロジックチップ生産にも採用する方針です。ロジックチップは、携帯電話、チップカード、テレコミュニケーション、自動車、産業用など、多 方面に使用されます。この方向で、インフィニオンとUMC社の合弁会社であるUMCiがシンガポールで新工場を建設中です。ロジックチップとDRAMチップに同種の技術を採用することで、需 要の変動に対してより大きい柔軟性を確保できるようになります。
ドレスデン工場は、バージニア州リッチモンド(米国)、プロモス・テクノロジーズ(モセルバイテリック社との合弁会社、所在地は台湾の新竹)と並んで、インフィニオンのDRAMチップ国際工場群(ファブ・ク ラスタ)の一翼を担います。台湾の工場では300mmと0.14μmの技術導入の立ち上げが着手されており、2002年の初夏までに生産が開始される予定です。リ ッチモンド工場でも新技術導入を開始する準備が整っており、市場動向に応じて、300mm生産を何カ月という期間でスタートできる状態にあります。
インフィニオンは現在、世界のDRAMメモリチップ市場で約14%のシェアを持ち、第4位にランクされます。2001会計年度(9月決算)のメモリ製品グループの売上高は15億9,000万ユーロで、イ ンフィニオンの売上全体に占める比率は約28%でした。これは、通信関連製品(23億5,000万ユーロ、構成比42%)に次ぐ第2位で、第3位は自動車&産業グループ(11億ユーロ、構成比19%)で した。
インフィニオンについて
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INFXX200112.020
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