インフィニオンがサイファンとのフラッシュメモリ提携を拡大。コード・フラッシュ市場にも対象を広げる合弁会社設立

2003/02/20 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、イスラエルのサイファンセミコンダクターズと共同で「インフィニオンテクノロジーズ・フラッシュ(Infineon Technologies Flash GmbH & Co KG)」という名の新会社を設立すると発表しました。フラッシュメモリ事業を大いに拡充するのが狙いです。これでインフィニオンは、ソリューション・プロバイダを目指す「Agenda 5-to-1」戦略に沿った発展を持続します。

インフィニオンは現在、パソコンやPDA(携帯情報端末)、サーバおよびグラフィックカード用メモリチップ(DRAM)の世界第3位のプロバイダです。新会社のインフィニオン・フラッシュ(略称)の 設立は、インフィニオンとサイファン両社が新興フラッシュメモリ市場でも地盤を固めるための布石となります。この合弁事業を通じて、インフィニオンは今後、D RAMとフラッシュのノウハウを新しい革新的な製品世代につぎ込むことができます。インフィニオン・フラッシュは、2001年にインフィニオンとサイファンが設立した合弁会社インジェンティクス( Ingentix)が先例となっています。ドレスデンに本社を置く新合弁会社には、インフィニオンは70パーセント出資します。

インフィニオンのハラルド・エッガース(メモリ製品グループ責任者)はインフィニオン・フラッシュ設立発表に際し、「十分に実証済みの200mmプロセス技術を背景に、当 社はドレスデンでのフラッシュメモリ生産のための理想的な態勢を持っています。インフィニオン・フラッシュは、フラッシュメモリ製品市場で地盤を固めるため、イ ンフィニオンの卓越した生産コスト面での地位を活用します。インフィニオンのDRAM製品とこの合弁会社のフラッシュ製品は、同じ装置で生産される予定です。また、後 続の製品のための開発センターを開設する作業を始めているところです。近い将来に、ドレスデンでは約40人の新規雇用を予定しています」と、語りました。

また、サイファンのボアズ・エイタン社長兼最高経営責任者(CEO)は、「今回のインフィニオンとの合弁活動の拡大は、Saifun NROM技術を不揮発性メモリ市場で選択される技術にすることを目指した、もう一つの道筋となります。イ ンフィニオンの生産およびマーケティングの実力をサイファンの技術および研究開発力との組み合わせから生まれる相乗効果によって、インフィニオン・フラッシュは、フ ラッシュ市場のリーダーになるための大きな足場を確保します」と、述べました。

フラッシュメモリ製品は、動作電圧が切れた後も記憶された情報を確実に保持できる、不揮発性メモリとしても知られています。データ・フラッシュメモリは、携帯電話、PDA 、デジタルカメラ、M P3プレーヤや他の多くの娯楽電子や産業用エレクトロニクス製品に使用される、柔軟なストレージ・デバイスとして利用されています。プログラム・フラッシュメモリ(またはコード・フラッシュ)は、P Cや携帯電話などの電子デバイスのソフトウェア・メモリとして使われています。エンベデット・フラッシュメモリは、キャッシュカードやIDカードとしての利用が増えているチップカードの作成に用いられています。イ ンフィニオンは同社製チップカード用ICで、この分野で長年にわたり市場リーダーの地位にあります。

インフィニオン・フラッシュは、最高経営責任者(CEO)のペーター・キュヒャーと最高マーケティング責任者(CMO)のラミー・ランガーが共同で運営します。ペーター・キュヒャーは、世 界を先導するインフィニオンの300mm技術の開発および生産の責任者を務めていました。サイファン出身のラミー・ランガーは以前、タワー・セミコンダクターズ(Tower Semiconductors)の マーケティング&セールス担当副社長を務めた経歴があります。

キュヒャーは、「以前は、サイファンとの契約はデータ・フラッシュメモリに対象が絞られていました。このたび、プログラム・フラッシュ製品の開発、生産および販売もできることになりました。こ うしてフラッシュ事業が拡大されたことで、当社はこの成長市場で大きなシェアを確保するとともに、メモリ・ソリューションの製品ラインナップを大いに拡充できます」と、述べました。

また、ラミー・ランガーは、「2001年のインジェンティクス設立によって、すでに国際的な顧客とのパイプが確立されており、それがインフィニオン・フラッシュに活用されます。現在、最初の顧客企業( 複数)に64Mバイト・フラッシュメモリの製品サンプルを供給中です」と、語りました。

市場調査関係者は、世界のフラッシュメモリ市場の規模が、2002年の80億ユーロを基準にして、2006年までに年率10パーセントの成長をみせると予測しています。

フラッシュメモリの主な成長原動力となっているのが、携帯電話への利用増大と、携帯型コンピュータやデジタルカメラなどに使われる、電源が切れても記憶内容を保持できる、持 ち運べるICメモリに対する需要拡大です。

データ・フラッシュメモリの量産は、ドレスデンで2003年下半期に開始される予定です。それに続き、プログラム・フラッシュメモリが2004年早々に量産開始の予定です。インフィニオン・フ ラッシュは、フラッシュメモリ本体用チップだけでなく、必要なコントローラ・チップも生産します。コントローラ・チップは、イスラエルのネタニアに所在するインフィニオン・フラッシュ・リミテッド( Infineon Flash Ltd.)が設計および試験を担います。

フラッシュ事業の拡大は、サイファンのNROM技術へのインフィニオンのコミットを物語る、もう一つの事例です。この技術は、1つのセル内に2ビットの情報量を蓄積するもので、そのため、き わめて低消費電力の超小型チップが作れます。他のフラッシュメモリ技術と異なり、データとプログラムの両方のフラッシュメモリに適用できるのはNROMだけです。また、NROMの別の長所は、プ ロセスがあまり複雑でないことで、そのため、NROMは、フラッシュメモリ市場への参入を維持するための礎になります。

サイファンセミコンダクターズについて
サイファンセミコンダクターズ(Saifun Semiconductors Ltd.)は、Saifun NROM技術と呼ばれる、先端的な不揮発性メモリ(NVM)技術を開発した実績があります。 この技術は、市場においてもっとも費用効果のすぐれた高性能NVM製品の生産を可能にします。Saifun NROMには、あらゆるNVMアプリケーションに適した、あるコンセプトが採用されています。戦 略投資家の支援を受けつつ、サイファンは世界の主要な半導体および電子システムのサプライヤと提携し、NROMベースの新しいメモリ製品の開発を加速するため、共同で取り組んでいます。サ イファンの設立は1998年で、創立者はボアズ・エイタンです。

ウェブサイト:
http://www.saifun.com

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

Information Number

INFMP200302.048e