インフィニオンが実装面積を最大75％削減できるVDSL モデム・オン・チップを発表

独インフィニオンテクノロジーズは、VDSLアクセス・ラインカードおよびCPE（加入者宅内装置）向けの高集積モデム・オン・チップ（MoC）ソリューション「VDSL5100i」を発表しました。こ の新製品は、新しいアダプティブ・ハイブリッド技術を採用し、3個のICを単一のパッケージに集積しています。現行ソリューションと比べて、モデム設計におけるICパッケージ数と実装面積を最大75％削 減できます。「VDSL5100i」は、卓越した柔軟性を備え、VDSLの各種国際標準で定義されたすべてのデータ伝送速度において、安定した性能を提供します。サービスプロバイダはこれを採用することにより、シ ングルペア銅線上でフルレンジの高度ブロードバンド・サービスを展開し、収入の最大化が図れます。

MoCソリューション「VDSL5100i」は、フィールドで立証済みのインフィニオンQAM方式VDSL技術の第5世代をベースとしており、VDSLモデム用のデジタル・トランシーバIC、ア ナログフロントエンド（AFE）IC、ライン・ドライバICを内蔵しています。さらに、AFEにはインフィニオンのアダプティブ・ハイブリッド技術が集積されています。その結果、真 のフィルタレス設計が可能となり、ラインカードおよびCPE装置における、外部部品点数と付帯コストのさらなる低減をはかることができます。フィルタレス設計は、部品コストや消費電力の低減にも寄与します。さ らに、フィルタレス技術はモデム受信側の感度を向上させるので、「VDSL5100i」をベースにしたVDSLシステムは、市場をリードする伝送距離と伝送速度（リーチ／レート比）を確保できます。

「VDSL5100i」は国際標準に完全準拠しており、シングルペア銅線を介して下りと上りの合計で100Mbps以上の総合データレートを提供します（例えば、非対称モードで70/40Mbps、対 称モードで50/50Mbps）。バンドプラン（周波数帯域割当）と転送プロトコル選択は、ソフトウェアで制御できます。ネーティブEthernetとATMトラフィックの両方をサポートし、す べてのVDSL周波数で柔軟な帯域割当とPSDシェーピングが可能です。「VDSL5100i」には、インフィニオンのロングリーチ技術も装備されており、Band 0の周波数を利用して、最 大伝送距離4kmまでVDSLサービスの範囲を拡大できます。

インフィニオンのクリスティアン・ヴォルフ（有線通信グループ担当副社長兼アクセス事業ユニット・ゼネラルマネージャ）は、「すでに何百万ものQAM方式VDSLチップが使用されていますが、サ ービスプロバイダと機器メーカーは現在、総システムコストを低減し、設置を望む加入者の新しい波をサポートするためのソリューションを求めています。抜群の集積レベルを持つVDSL5100iは、こ のニーズに応える理想的なソリューションです。寸法は既存ソリューションのおよそ4分の1にすぎず、機器メーカーが当社に期待する柔軟性を備え、かつ業界最高のVDSLポートあたりスループットを達成します。今 回の発展による最も重要な成果は、機器メーカーが、バンドプランやプロトコルおよび設置場所の如何を問わない、真の万能チップを入手できるようになったことです。これにより、一つのVDSLモデム設計で、グ ローバルに変化するサービス・ニーズに対応でき、必要な変更はシステムの構成を設定するためのソフトウェアだけですみます」と、語りました。

「VDSL5100i」の評価用サンプルは2003年8月から出荷が開始されます。量産時の価格は、インフィニオンの現行の4バンドVDSLチップセットと同水準となります。

インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度（9月決算）の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。