インフィニオンが製造コスト20米ドル以下の超低コスト携帯電話リファレンスデザインを発表
独インフィニオンテクノロジーズは本日、業界初の超低コスト携帯電話ハンドセット向けリファレンスプラットフォーム「ULC」を発表しました(ULC=Ultra Low Cost)。こ のプラットフォームは、シングルチップGSMソリューションを採用することにより、SMS(ショート・メッセージ・サービス)機能を備えたGSMハンドセットのコストを今日の目安である約35米ドルから、近 い将来20米ドル以下へ、半分近く低減することを可能にします。この金額によって、電子部品、プリント配線基板、コネクタ、キーパッドとディスプレイを備えたケース、すべてのソフトウェアコンポーネント、充 電式バッテリ、チャージャ、パッケージ、説明書など、携帯電話全体のコストがカバーされます。
インフィニオンのリファレンスプラットフォーム「ULC」は、G SM900/1800およびSM850/1900規格に準拠したデュアルバンド型ハンドセットに必要なすべての電子的ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントを提供します。このプラットフォームには、G SM無線およびベースバンド機能を備えたシングルチップデバイス、外付けの高周波部品、電源IC、メモリ、オペレーティングシステム、ハードウェアドライバ、GSMプロトコルスタック、S MSおよび電話機能を単純かつ直感的に使用するためのリファレンスMMI(マン・マシン・インターフェイス)などが含まれています。こ のプラットフォームを適用した顧客企業での量産開始は2006年の第1四半期に予定されています。その数ヵ月後には超低コスト携帯電話が販売店に出ることになります。
急成長する超低コスト携帯電話の世界需要
携帯電話ユーザーは現在、全世界で約18億人にのぼります。SMS機能を備えた低コストで操作が容易なハンドセットへの需要が増加しています。多くの人々は移動通信の利用を望んでいますが、カ メラやビデオ機能、ウェブブラウザ、音楽プレーヤ、ゲームなどのアプリケーションにはあまり価値を置いていません。超低コスト携帯電話は、こうした多数を占める新しい携帯電話ユーザーをターゲットとしています。
GSMアソシエーションの新興市場ハンドセット戦略主任であるアミート・シャー氏は、「携帯電話網がカバーする地域に住む人々のうち約35億人が自分の携帯電話を購入することができない状況です。超 低コスト携帯電話は、世界人口のより多くに通信の恩恵を及ぼす鍵となります」と、述べました。
米市場調査会社ストラテジーアナリティクスは、価格50米ドル以下の超低コスト携帯電話が2010年には全世界で1億5000万台以上販売されると予測しています。
電子部品100個以下の高集積GSMプラットフォーム
SMS機能を備えた単純なGSM携帯電話は現在、約150~200個の電子部品を必要としています。インフィニオンの新しいプラットフォームでは、その数が100以下に低減され、現 在の約3分の1の占有面積(3cm×3cm)に収まります。
インフィニオンの高集積リファレンスプラットフォームは、携帯電話の製造に低コストのプロセスを適用することを可能にします。例えば、部品は配線基板の片面だけに装着され、較 正試験を行う時間は60秒から1秒へ短縮され、部品の物流管理は単純化されます。
プラットフォームの消費電力は、超低コスト携帯電話の給電に安価な充電式バッテリ(単四型ニッケル水素電池など)を使用できるように最適化されています。携 帯電話用の標準的な充電式バッテリを使用した場合には、待機時間は10日以上、通話時間は4時間以上に達すると見積もられます。
インフィニオンの超低コスト携帯電話プラットフォームは、白黒およびカラーディスプレイをサポートするように設計されています。また、EFR(エンハンスド・フル・レート)、FR(フル・レート)、H R(ハーフ・レート)、AMR(アダプティブ・マルチ・レート)など、各種の音声コーデック方式に対応しています。このため通信事業者は、網の使用状況に応じて音声品質と加入者容量を柔軟かつ効率的に管理し、コ スト低減をはかることができます。
プラットフォームの中核となっているのは、GSMシステムのためのきわめて小型でコスト効率の高い完結した半導体ソリューションです。このソリューションは、「E-GOLDradio」(型名:P MB7870)と「E-Powerlite」(型名:PMB6814)で構成されます。「E-GOLDradio」は、4 バンド無線トランシーバとベースバンドプロセッサを備えたモノリシックGSMシングルチップデバイスです。こ れによってベースバンドおよび無線機能の全体を従来の2チップソリューションと比較して約30パーセント少ない配線基板スペースで実現できます。その理由は、携 帯電話内部で無線部とベースバンドロジックを接続するためのコンデンサや個別半導体のような外部部品が不要になるからです。「E-Powerlite」は、プロセッサおよび携帯電話システム全体( 電気機械的な音響部品、ディスプレイおよびキーパッド照明、SIMカードなど)が必要とするすべての電源を供給します。また、リチウムイオン電池やニッケル水素電池の使用時および充電時の安定化制御を行います。
インフィニオンの携帯電話用プラットフォームおよびチップに関する情報は下記URLをご参照ください:
www.infineon.com/wireless
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、メモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の子会社を拠点として活動しています。2004会計年度(9月決算)の売上高は71億9,000万ユーロ、2004年9月末の従業員数は約35,600名でした。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト:http://www.infineon.com
日本サイト: http://www.infineon.com/jp
Information Number
INFCOM200507.068
Press Photos
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With Infineon's ULC mobile phone platform the number of electronic components needed in a GSM mobile phone with SMS functionality is reduced to below 100, from around 150 to approximately 200 today.ULC old platform
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Today's simple GSM mobile phone with SMS functionality needs around 150 to approximately 200 electronic components.Old platform standalone
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With Infineon's ULC mobile phone platform the number of electronic components is reduced to below 100, from around 150 to approximately 200.ULC standalone
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