インフィニオンが日立GSTと共同開発した次世代の高性能HDD用のHDDリードチャネルコアを発表

2005/11/28 | マーケットニュース

 独インフィニオンテクノロジーズは28日、同社が90nm(ナノメートル)プロセス技術を採用した最初のICとなる、先進的なハードディスクドライブ(HDD)リ ードチャネルコアを発売すると発表しました。日立グローバルストレージテクノロジーズ社(以下、日立GST)と共同開発したこのリードチャネルコアは、次 世代HDD用の高集積コントローラチップの開発へ向けての大きなステップとなります。
インフィニオンのペーター・バウアー(取締役会メンバー、自動車・産業・マルチ市場事業グループ責任者)は、「この初の90nmリードチャネル製品の投入により、イ ンフィニオンは成長するHDD市場向けに次世代ICを提供に向けて順調に進んでいます。当社の市場へのコミットメントや長年にわたるプレゼンスは、インターフェイス、低消費電力の先端的なSOC設計手法、さ らには不揮発性メモリ、セキュリティチップカードICなどHDD業界にとって極めて重要である様々な技術をほぼ全てカバーしている広範なIP(知的財産)ポートフォリオを基盤としています」と、述べました。

インフィニオンのADS(ASIC&デザインソリューションズ)グループのゼネラル・マネージャ兼バイスプレジデントであるサンドロ・セラートは、「 インフィニオンのリードチャネルコアの90nmへの移行により、HDD業界はデータレート高速化、消費電力低減、ダイサイズ縮小などの次世代製品の要件を満たすことが可能になり、先 進的なSOCソリューションを競争力のある価格で提供できるようになります。この初のテスト済みリードチャネルコアシリコンは、 PLL(フェーズ・ロック・ループ)の出力周波数が最大3.6GHz、アナログ・フ ロントエンド(AFE)の信号パスがデータレート最大2.7Gbpsを達成できることを実証しました。これは130nm技術を用いた先進的なリードチャネルに比べて、約50パーセント高い数値です」と、語 りました。

ガートナー・データクエストが2005年8月に発表した調査報告によると、HDD市場は2005年の33億ドルから2009年には45億ドルへと約30パーセントの成長をみせる見通しで、モ バイルおよびデスクトップアプリケーションが主な牽引役となっています。

日立GSTのロチェスターMNのシニア・ディレクタ兼ゼネラル・マネージャを務めるスティーブン・スミス氏は、「このリードチャネル技術の開発は、日 立とインフィニオンの革新力と技術力を改めて示すものです。インフィニオンはシリコン開発と集積化におけるリーダーシップを証明しており、9 0nm技術を初めて採用したリードチャネルの性能に当社は非常に満足しています」と、述べました。

この新世代のリードチャネル技術は垂直記録レコーディングなどの先進的な機能をサポートし、第2世代リバース・コンカテネーション(Reverse Concatenation)コ ーディングを活用して、ストレージ密度の大幅な向上のための先端的なSNR(信号対ノイズ比)特性を提供します。

インフィニオンの90nmリードチャネル技術は一つの共通アーキテクチャ上でそれらを活用し、すべてのHDD分野(業務用、デスクトップ用、モバイル用、超低消費電力用)に適用が可能です。H DDプラットフォームが種々異なる場合、各市場セグメントに特有のターゲット・パラメータに合わせて設計をカスタム化することによって、各々の要件をクリアできます。

現在、90nm採用製品の第2弾として、バッテリ駆動アプリケーション向けの開発を進めており、極めて低い消費電力を狙いとしています。また、インフィニオンの90nmプロセス技術によって、卓 越した待機時消費電力とリーク電流特性が達成され、携帯電話などのハンドヘルドアプリケーションをサポートします。

この新しい読み取り/書き込みチャネルには、高性能と低消費電力を両立させ、様々な用途のアナログデバイスを同じシリコン上で作成できる、インフィニオンの90nm CMOS技術を採用しました。イ ンフィニオンの技術および設計システムを利用すれば、性能的に強力な業務用クラスのサーバから消費電力に敏感なモバイル民生用電子機器まで幅広く利用されている、シ ングルチップ型のミクストシグナルや先進的なDSP(デジタル信号プロセシング)を、製品特性やコスト効率の面で最適化することができます。この技術の主な特長は、アクティブ・ウェル(active well)、 クロックゲーティング(clock-gating)、シングルチップに銅配線層を6~9層設けたミクロスイッチなどの先進的な省電力方式を用いて、マ ルチスレショルド電圧/マルチゲート酸化膜デバイスを構造幅70nmに至る最小の物理ゲート寸法で集積できる点にあります。

インフィニオンのADSグループが開発した新しいHDDコントローラは、世界中の様々なファブ施設で製造可能であり、カスタマに対して、HDD業界で非常に重要なバリュー・プロポジション(価値提案) となるサプライチェーンにおける柔軟性とチャンスを拡大します。現在インフィニオンの90nm技術を提供しているファブには、ドレスデン(ドイツ)のファブとUMC(台湾)が含まれます。

日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)について
日立GSTは、日立製作所とIBMのストレージ技術事業を統合して2003年に設立されました。日立GSTは世界中の顧客企業に、デスクトップPC、高性能サーバ、モ バイル機器などに使用される極めて広範なストレージ製品を供給しています。同社は、HDDの機能と性能を向上させるための新技術を次々と送り出しています。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、メモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。2005会計年度(9月決算)の売上高は67億6,000万ユーロ、2005年9月末の従業員数は約36,400名でした。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト: http://www.infineon.com

Information Number

IFXAIM200511-021