インフィニオン、拡張性が高く高性能な 新マイクロコントローラ・ファミリ「XC2300」を発表 ～将来の安全性基準に対応 車載用エアバッグやパワーステアリングなどのセーフティアプリケーション向け～

独インフィニオンテクノロジーズは本日、エアバッグシステムや電動パワーステアリングなどの車両安全アプリケーション向けに設計された新しいマイクロコントローラ・ファミリを発表しました。新製品の「 XC2300」マイクロコントローラ（MCU）ファミリは、32ビットの性能と豊富な周辺機能セットを実現することで、高速な応答時間、冗長性、柔 軟性が要求される現在および将来の車両安全アプリケーションに対応します。

今回のMCUファミリの発表は、インフィニオンがエアバッグシステムやパワーステアリングのアプリケーションに包括的なチップ・ソリューションを提供できること、そして、車 載アプリケーションについて深いノウハウを備えていることを改めて示すのです。車載用システムサプライヤは、MCU、センサ、パワー半導体からなるインフィニオンのソリューションを使用することで、自 社のシステムの信頼性を高め、開発期間を短縮することができます。

XC2300製品を搭載した車載用安全システムは、最新のSIL3（Safety Integrity Level）規格（IEC 61508）認証を取得できるだけの能力を備えます。安 全システムを対象とするこの規格は、自動車業界によって現在協議中であり、2008年初めには欧州で採用される見込みです。

インフィニオンのピーター・バウアー（取締役会メンバー、自動車・産業・マルチ市場部門責任者）は次のように述べています。「 安全システムは車載アプリケーションの中で最も著しく成長している分野であり、今後5年間で約10%の成長が予想されます。自社生産のMCU、センサ、パワー半導体を提供し、車 両安全アプリケーションのシステムについても幅広いノウハウを有していることから、インフィニオンは車載用チップ・サプライヤの中で独自の地位を確立しています。コスト効果に優れ、自 動車業界の厳格な品質要件と安全性基準を満たすインフィニオンの包括的なソリューションによって、システムサプライヤや自動車メーカーは大きなメリットを享受することができます」

XC2300ファミリは、32ビットの性能と強力な周辺機能セットを提供
XC2300ファミリは、車載用の電子安全システム全般で、拡張性とハードウェア/ソフトウェアの再利用、互換性を実現できるよう設計されています。製品ファミリには、最 大80MIPS/80MHzの処理能力を誇る高性能CPUが搭載されています。

XC2300ファミリの柔軟なUSIC（Universal Serial Interface）は、UART（Universal Asynchronous Receive Transmit）、 LIN（Local Interconnect Network）、バッファ付きSPI（Serial Peripheral Interface）、IIC（Inter-IC）Bus、IIS（ Inter-IC-Sound）のインタフェースとして構成することができます。さらに、MultiCAN（CAN Rev. 2.0B）では、最大3つまでのCANノードとゲートウェイ機能上において、最 大64のメッセージオブジェクトを柔軟に割り当てられます。

また、2つのパラレルA/Dコンバータが、最大24チャンネルによる高性能とデータのプリ処理機能（オプション）を実現し、変換時間を1.2µsにまで短縮します。A /Dコンバータには特定の安全機能が搭載されており、接続の破損個所を検知することや、2つのA/Dコンバータを同期して、入力信号を冗長的にサンプルすることができます。

安全システムの開発者は、メモリ保護ユニット（MPU）を使用し、サードパーティ・サプライヤ（AUTOSAR等）のソフトウェアを保護された実行環境に組み込むことで、さ らなるメリットを得ることができます。また、メモリ保護機能と時間保護機能によって、安全性が重視されるアプリケーションとそうでないアプリケーションを「trusted（信頼済み）」および「 untrusted（制限付き）」の実行ドメイン内で一貫して実行することができるため、異なるソフトウェア・コンポーネントを完全にカプセル化することができます。この場合、MPUは異なるソフトウェア・タ スクのカプセル化をコントロールし、信頼性の高いメカニズムを提供することで干渉を回避します。大半のタスクを「untrusted」に分類することができ、安全性が重視されるタスクのみを、より高い「 trusted」レベルで処理しなければならない場合、ソフトウェアの開発プロセスで大幅な節約を実現することができます。

XC2300製品は低消費電力（80MHzによる最高性能の場合でも60mA未満）で動作するため、必要なのは小型の電圧レギュレータのみとなり、システムコストを抑えることができます。

XC2300ファミリの各製品は、128キロバイト～1.6メガバイトのフラッシュメモリを搭載することで、エアバッグシステムと、複雑性の高い安全システム（パワーステアリング、ロ ーエンドのシャシーコントロール、センサクラスタ等）の両方に適合します。

その他の特長としては、AUTOSAR準拠が挙げられます。インフィニオンはすべてのXC2300製品についてAUTOSARソフトウェアドライバを提供し、イ ンタフェースのソフトウェア標準化と車載用システムのソフトウェアモジュールをサポートしています。

XC2300ファミリの高い拡張性
XC2300ファミリには幅広いラインナップが用意されており、50種類を超える製品が提供される予定です。こうしたラインナップは、セ ーフティアプリケーションの設計におけるMCUの選択に高い拡張性をもたらし、メモリ、周辺機能セット、動作周波数、温度、パッケージングについて、ア プリケーションの機能と性能の要求に合わせた最適な組み合わせを実現することで、設計時から設計終了までプリント基板設計の変更が必要ありません。イ ンフィニオンのXC2300マイクロコントローラ用にコンパイルしたソフトウェアは、同一自動車メーカーによる異なる車種において、様々なセーフティアプリケーションに容易に転用することができます。ハ ードウェアとソフトウェアの開発、認証、検証、検査に伴う節約コストは、総コストの30%にも達する可能性があります。

XC2300ファミリ専用の安全機能
エアバッグ、ハンドル、ブレーキといった、安全性が重視されるアプリケーションでは、最高水準の信頼性を実現することがすべてのシステムコンポーネントの絶対条件となります。

XC2300ファミリのコンポーネントはすべて、このような厳格な安全性基準を達成できるよう特殊設計が施されており、すべてのメモリにECC（Error Correction Code）を 搭載し、メモリ保護や冗長性を確保し、CRC（Cyclic Redundancy Check）などの各種制御メカニズムを採用するなど、安全関連の機能セットを搭載しています。IEC 61508（SIL3） の要件に対応したシステムをサポート・実現するにあたって、こうした機能はXC2300の全製品にとって不可欠です。

XC2300製品の発売
インフィニオンは本日、XC2300ファミリから最初の2種類の製品として「XC2365」と「XC2387」と、計16種類のソフトウェア互換製品とピン互換製品を発表しました。各製品は、フ ラッシュメモリサイズ（384キロバイト、448キロバイト、576キロバイト）、ADCチャンネル数（16、24）、動作周波数（66MHz、80MHz）、温度範囲（-40℃～+85℃、- 40℃～+125℃）、グリーン（鉛フリー）Low-Quad Flat Pack（LQFP）パッケージオプション（LQFP-100、LQFP-144）について各種設定が用意されています。将 来のバージョンとして、128キロバイト～1.6メガバイトのフラッシュメモリサイズを実現し、FlexRayインタフェース等の追加機能を搭載、6 4と176ピンのLQFPパッケージに対応した製品が2008年中に発表される予定です。

開発用ツール
XC2300ファミリには評価用ボード、デバッガ、コンパイラ、マニュアル類を含めてフルセットの開発用ツールが用意されています。

価格と出荷予定
XC2300ファミリのXC2365とXC2387は自動車業界のお客様向けにサンプル出荷を開始しています。

サンプル価格は製品の仕様によって異なります。たとえば384キロバイトのフラッシュメモリ搭載、自動車温度範囲-40℃～+125℃で66MHz動作のXC2365の価格は、2 万個一括注文時に1個あたり約5.35ユーロ（6.95米ドル）です。

詳細については www.infineon.com/xc2300 と www.infineon.com/automotiveをご覧ください。

インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、エネルギー効率、コミュニケーションズ、セ キュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2006会計年度（9月決算）の売上高は79億ユーロ（キマンダの売上高38億ユーロを含む）、 従業員は世界全体で約4万2,000人（キマンダの従業員約1万2,000人を含む）でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米国ではカリフォルニア州ミルピタス、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。イ ンフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト： http://www.infineon.com
オンラインのニュースリリース： http://www.infineon.com/cms/jp/corporate/press/news/