インフィニオン、産業アプリケーション用リアルタイム信号コントローラ・ファミリを発売

ノイビーベルク（ドイツ）

独インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies、以下インフィニオン）は本日、16ビットのリアルタイム信号コントローラの新しい製品ファミリを発表しました。高 速な割込み応答とコンテキスト・スイッチング機能という特長を持ち、特に産業用駆動装置アプリケーションに適しています。今回発表したリアルタイム信号コントローラ（RTSC）「XE166」ファミリは、独 立したモータを最大で4基同時に制御することができます。

XE166ファミリは、C166S V2コアを採用しています。16ビットのC166コアが持つ強力な周辺装置制御機能とDSP（デジタル信号プロセッサ）の 演算性能を組み合わせたマイクロコントローラ（MCU）を集積した高性能RTSCです。80MHzでシングルサイクル命令実行を行うことができるため、従 来のXC166に対して2倍となる80MIPSもの性能を発揮できます。使用できるフラッシュメモリの容量も、最大で768キロバイト（KB）とXC166の3倍以上となりました。なお、C 166コントローラやXC166コントローラ用に開発したソフトウェア資産は、新しいXE166ファミリ用として簡単に再利用できます。

「インフィニオンのMCUにはリアルタイム処理性能が高いという特長があります。XE166はMCUの高いリアルタイム機能と使いやすさ、そ してDSPの演算能力と高いデータスループットをひとつのリアルタイムコアに集積したパワフルなシングルチップ製品で、組み込み型の産業用モータ駆動アプリケーションに最適です。インフィニオンの既存製品、C 166ファミリやXC166ファミリと比較し組込システムの設計者は性能の向上・フラッシュメモリ・ペリフェラルの拡張の優位性をより体験できるはずです」と、インフィニオンテクノロジーズのヨッヘン・ヘ イネベック（マイクロコントローラ事業ユニット担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャ）は述べています。

XE166ファミリには、組込電圧レギュレータ、各種クロックソース、電圧低下検出、ウォッチドッグが集積されています。

周辺装置としては、正弦波変調アルゴリズムあるいは空間ベクトル変調アルゴリズムによって電気モータを駆動できるキャプチャ/コンペア・ユニット4基が使えます。また、10ビットの分解能を持ち、変 換時間が1.2マイクロ秒以下という高速の24チャネルのADコンバータ2基も用意されています。なお、このADコンバータは同期させることが可能です。このほか、最大で5つのCANノード、128のメッセージ・ オブジェクトを同時に処理できるMultiCANインターフェイスなど、さまざまなインターフェイスも用意されています。柔軟性を拡張する機能として、UART、LIN、SPI、I2C、I ISなどのインターフェイス経由で外部周辺装置にリンクできるユニバーサルシリアルインターフェイスが6チャネル用意されています。

アプリケーション運用時の安全性を高めるため、効果的なECC（Error-Correction Coding）技術も実装しました。このECCは、シングルビットエラーの検出訂正ができるほか、ダ ブルビットエラーの検出が可能です。

XE166ファミリとして28種類の製品を提供する計画です。製品の種類は、組込フラッシュメモリの容量（192キロバイト、384キロバイト、576キロバイト、768キロバイト）、動作周波数（ 66MHz/80MHz）、スケーラブルなペリフェラルセット、グリーン化対応（鉛フリー）のLQFP（Low-Quad Flat Pack）パッケージとしては（LQFP-100/LQFP-144）です。

供給状況と価格
インフィニオンは、新しいXE166ファミリとして、XE164シリーズとXE167シリーズという2種類の製品シリーズを発表しました。いずれも、現在サンプル出荷を行っています。サ ンプル価格は製品仕様によって異なります。たとえば、動作周波数が66MHz、組込フラッシュメモリ容量が192キロバイト、RAMが24キロバイト以下、動 作温度範囲が産業用の-40℃から+85℃というXE164G-24F66Lの場合で、2万個受注時の単価が4.90ユーロ（6.70ドル）程度となります。

将来的には64ピンから176ピンまでの製品をXE166ファミリとして提供する計画で、低価格製品から高性能機器にまで対応できるスケーラブルなパッケージ展開となります。

優れたデザイン・イン・サポート：開発ツール無償ライセンス
XE166ファミリは評価用ボード、デバッガ、コンパイラ、各種ドキュメントなど開発ツールも充実しています。また、RTSC製品による設計の1年目については、Tasking XE166ツールチェーンのライセンスコストをインフィニオンが負担します。

この対象となるのは、パワフルなツール機能セットを持つAltiumのTasking C166コンパイラ・ツールセットです。

この統合開発環境を利用すると、XE166 EasyKit評価ボードとのシンプルなインターフェイス構築が可能なCrossView Proソースレベル・デバッガへの移行がスムースになります。そ のまま利用可能なコード例がプリインストールされているほか、ステップ・バイ・ステップのガイドラインや、スタートアップ・コードの自動生成といった高度なツールも用意されていることから、設 計をはじめたその日から高い生産性を得ることができます。

「1年間無償でライセンスを利用できるXE166コンパイラ・スイートには、XE166アプリケーションの構築から完成までに必要となるあらゆるツールが用意されています。その後は、豊 富な実績を持つTasking C166ソフトウェア開発ツールセット、あるいは新しいC166用VXツールセットの無制限フル機能版へとアップグレードすることができます。これにより、1 6ビットのマイクロコントローラとは思えないほどの高性能をXE166から引き出すことが可能になります」と、Altiumのノハームアンドレ・ベルホフ氏（Tasking開発ツール製品マネージャ）は 述べています。

詳細情報
XE166ファミリの詳細情報の入手や無償ツールチェーンへの登録は、 www.infineon.com/XE166からご利用いただけます。

インフィニオンは、SPS/IPC/DRIVES見本市（ドイツ、ニュルンベルクで11月27日から29日まで開催）のHall 1、531番ブースでXE166ファミリのデモを行います。

インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、エネルギー効率、コミュニケーションズ、セ キュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2006会計年度（9月決算）の売上高は79億ユーロ（キマンダの売上高38億ユーロを含む）、 従業員は世界全体で約4万2,000人（キマンダの従業員約1万2,000人を含む）でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米国ではカリフォルニア州ミルピタス、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。イ ンフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト： http://www.infineon.com
日本法人サイト： http://www.infineon.com/jp