インフィニオン、ノーベル賞受賞技術をセンサに採用
ノイビーベルク(ドイツ)
今年のノーベル物理学賞は巨大磁気抵抗効果(giant magneto resistance effect, GMR)の発見者に授与されました。イ ンフィニオンはこの効果を自動車のステアリング角度を計測する用途に採用しており、半導体メーカーとして世界で初めてiGMR(integrated giant magneto resistance)セ ンサの量産を開始しました。0°から360°までの角度を抜群の高精度で計測できるインフィニオンのiGMRセンサは、2個のGMRフルブリッジと温度センサ、2個のA/Dコンバータ、数個の電圧レギュレータ、そ の他のフィルタ、および動作中にこれらの部品を継続的にモニタリングする内部機構を備えています。
インフィニオンのセンサチップ「TLE5010」には2個のデジタル角度センサ(正弦関数と余弦関数)が搭載されています。S PIインタフェースを介してセンサに接続された8ビットマイクロコントローラは、これらのセンサを使って正確な角度信号を算出します。セ ンサとマイクロコントローラの間でデータをデジタル転送するため干渉を受けにくいうえ、内蔵の温度センサを使った補正により-40~+150℃という広範囲の温度で高い角度精度を確保することができます。
GMR効果とは、厚さ数ナノメートルの金属多層膜中の磁界による抵抗の変化によって生じます。簡単に言うと、金属多層膜は磁化の向き(基準方向)が一定で安定的な基準層と、外 部から磁界をかけるとそれに応じて磁化の向きがコンパスの針のように変化するセンサ層とで構成されています。センサ層と基準層は厚さがわずか原子数個分の銅層で隔てられており、これによりGMR効果が生じます。金 属多層膜の電気抵抗は、印加される磁界とセンサの基準層の間の角度によって変化します。インフィニオンはこのような金属層を、要求される精度で、標 準的なCMOS半導体製造プロセスに取り入れることに成功しました。
インフィニオンのセンサ製品マーケティングシニアディレクター、フランク・バウへは次のように述べています。「インフィニオンは革新的な高集積センサの技術開発において目覚ましい成果を上げました。G MR効果を自動車向け磁界センサに応用することで大幅な精度向上を図っており、自動車の安全性向上、燃料効率改善、排気量低減に寄与する、ますますインテリジェントなセンサの開発に取り組んでいます」
自動車用安全センサで首位の座を占めるインフィニオン
当社推定によると、インフィニオンは幅広い自動車用安全アプリケーション向けのセンサチップで世界トップの座を占めています。タイヤ空気圧監視システム(TPMS)に 使用される圧力センサではマーケットシェアが50パーセントを超える世界トップメーカーであり、また、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)で 車輪回転速度の計測に使用されるホールセンサでもシェアは約50パーセントに達し、さらに、サイド・エアバッグ・システム用の完全集積型圧力センサ市場でも80パーセントを上回るシェアを誇っています。
統計的に現在世界で製造される新車には、インフィニオンの半導体チップが1台あたり二十数個使用されており、アンチロック・ブレーキ・システムやサイド・エアバッグ・シ ステムなどに新車1台あたり平均5個のインフィニオン製センサが使用されている計算になります。またさらに、新車の4台に1台はインフィニオン製のエアバッグ・センサを搭載しています。
インフィニオンは現在、センサ分野の主要3部門(圧力センサ、磁気センサ、加速度センサ)のすべてで事業を展開している数少ない半導体メーカーの一社であり、自動車の安全系、パワートレイン系、ボ ディ系、快適性管理システム向けにセンサチップを提供することができます。
GMR効果の発見に対して授与された2007年度ノーベル物理学賞
2007年度ノーベル物理学賞は独ユーリヒ固体物理研究所(Helmholtz Research Centre in Juelich)のペーター・グリュンベルク教授と仏パリ南大学のアルベール・ フェール教授に授与されました。両氏はそれぞれ別々に80年代に巨大磁気抵抗(GMR)効果の研究に従事し、外 部の磁界によって磁気材料の薄膜の電気抵抗に大きな変化が生じる巨大磁気抵抗効果の発見でノーベル賞を授与されました。GMR効果の発見は、小型ハードディスクに使用される新型の読み出しヘッドの開発に道を開き、 これによりパソコンや携帯音楽プレーヤー(MP3プレーヤー)、ビデオレコーダーなどのハードディスクをギガバイトクラスに大容量化することが可能になりました。
インフィニオンのセンサについての詳細は www.infineon.com/sensorsをご参照ください。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、エネルギー効率、通信、安 全性とセキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2007会計年度(9月決算)の売上高は77億ユーロ( キマンダの売上高36億ユーロを含む)、従業員は世界全体で約4万3,000人(キマンダの従業員約1万3,500人を含む)でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米 国ではカリフォルニア州ミルピタス、アジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
Information Number
INFAIM200712.027
Press Photos
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The sensor chip TLE 5010 is used to measure steering angle in automobiles and is capable of measuring angles from 0° to 360° with exceptional precision.TLE5010
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