インフィニオン、安全性重視の車載用アプリケーション対応のデュアルセンサ パッケージ デバイスを発表、ASIL Dシステム対応の冗長センサ アーキテクチャが、システムの省面積化とコスト削減を支援

現在、電動パワーステアリングシステムの操舵トルクで高信頼性・高精度の検知を実現するには、一般的には2個のセンサチップが必要です。しかし今後は、独インフィニオンテクノロジーズのデュアルセンサパッケージの技術革新によって、1個のセンサチップだけですむようになります。インフィニオンは本日、この新たなデュアルセンサパッケージを採用済みのリニアホールセンサと角度センサの2つのデバイスファミリを発表しました。同技術はASIL Dシステムに対応しており、継続動作性の要求される自動運転のステアリングアプリケーションなどでは、物理的スペースの要件を軽減し、システムコストを抑えることが可能です。本デュアルセンサパッケージは、独レーゲンスブルクにあるインフィニオンの拠点で開発されました。

今回のリニアホールセンサと角度センサのデバイスファミリは、画期的なスタック取り付け技術を採用しており、厚さわずか約1mmの標準的な省スペース型PG-TDSOパッケージ内に、2個の独立したセンサを組み合わせています。センサを並置する一般的なアプローチとは異なり、インフィニオンは、特許取得済みのフリップチップ技術を用いて2個のセンサをスタックしています。この結果、電動パワーステアリング（EPS）、スロットル制御、ペダル位置、ブラシレスDCモータ制御（EPSモータなどの分野）、トランスミッション、クラッチアクチュエータなど、安全性重視のアプリケーションでは、貴重なスペースとコストを節約できます。

デュアルセンサパッケージは、2個のリニアホールセンサまたは2個の角度センサを集積しています。両センサとも、電源と信号出力が独立しています。また、電位絶縁により電気的な独立性が保たれています。つまり、2個のセンサが独立した動作を取ることで、システムの信頼性を向上できます。パッケージは、8ピンまたは16ピンのSMDで提供されます。インフィニオンでは、これらのパッケージを使用したシングルセンサ版も提供しています。

ISO 26262の厳しい要件が求められる新世代EPSシステムや、その他、ホール効果のトルクセンサやGMR/AMR（巨大磁気抵抗／異方性磁気抵抗）角度センサを活用した安全性重視のアプリケーションでは、センサの冗長性は特に大きな影響を持ちます。インフィニオンのデュアルセンサパッケージはASIL Dシステムに対応しています。インフィニオンは、ISO準拠システムの設計に関し、同社の顧客である車載用システムのサプライヤを支援するため、ISO 26262の文書と安全性に関する専門知識を提供しています。

インフィニオンのラルフボーネフェルド（Ralf Bornefeld）（センス&コントロール事業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー）は、次のように述べています。「電動パワーステアリングなど、安全性重視のアプリケーションでは、ISO 26262に準拠した自動車の安全性要件により、センサの冗長性が求められます。インフィニオンは、自動車部門のリーダー企業として、市場で最も広範な磁気センサのポートフォリオを取り揃えていますが、こうしたリーダーシップを強調するものとして、当社は2個のセンサを単一のパッケージに高度に集積することで、センサの冗長性というニーズに応えています。2個のセンサを単一の小型パッケージで提供することで、お客様はシステムコストを削減しつつ、超小型のASIL Dシステムを設計できます」

デュアルセンサ パッケージで、シングルセンサと同一のフットプリントを実現

デュアルセンサパッケージのフリップチップ取り付け技術を使用することで、両方のセンサ部品が同じ側部位置に取り付けられ、単一・均一の磁界を検出することで、関連するシステムマイクロコントローラによる直接的な比較が可能です。このフリップチップ取り付け技術によって、超小型パッケージとPCBレイアウトの省面積化が実現します。これに対し、センサを並置する従来型の手法では、異なる磁界が検出されます。この場合、デュアルセンサパッケージと比べてより強力な磁界が必要となり、パッケージの大型化は避けられず、より強力かつ高コストな磁石が必要となり、2個のセンサ部品の距離による磁界変動が発生します。さらに、高コストで大型の磁石を使用することで、磁界の正確なトリミングに必要な設計上の作業が発生します。インフィニオンの新型センサファミリの場合、エンジニアは小型・低コストの磁石を活用できるため、磁界のトリミング作業は不要です。

リニアホールセンサ向けの新型パッケージ、PG-TDSO-8の寸法は、わずか4.0mm×5.0mm×1.2mm（高さはスタンドオフを含む）で、シングルセンサデバイスと同一のフットプリントになっています。インフィニオンでは、角度センサ（GMR技術とAMR技術の両方）もPG-TDSO-16パッケージで提供しています。デュアルセンサパッケージのセンサ製品はすべて、-40℃～125℃の温度範囲仕様で、車載適合品です。

デュアルセンサ パッケージ技術の対応デバイスの供給状況

インフィニオンのリニアホールセンサ「TLE4997A8D」／「TLE4998x8D」は、PG-TDSO-8パッケージにより、すでにエンジニアリングサンプルの出荷を開始しています。量産出荷は2014年末の開始を予定しています。

角度センサ「TLE5012BD」／「TLE5309D」は、PG-TDSO-16パッケージで提供され、こちらもエンジニアリングサンプルの出荷を開始しています。「TLE5012BD」はiGMRベース技術を使用した2個のセンサを集積しています。一方、「TLE5309D」は、iAMRベース技術を使用した1個のセンサと、iGMRベース技術を使用した1個のセンサを集積しています。角度センサ「TLE5012BD」の量産出荷は、2014年末の開始予定です。「TLE5309D」の量産出荷は、2015年半ばの開始予定です。インフィニオンでは、シングルセンサソリューションとしても、リニアホールセンサと角度センサを提供しています。

センサ アプリケーション分野の強力なパートナーとしてのインフィニオン

大規模サプライヤとして、インフィニオンは、センサの設計と生産で40年以上の経験を活かし、市場で最も広範な磁気センサのポートフォリオを提供しています。同社の過去10年間の内蔵磁気センサ／圧力センサの販売個数は、25億個を上回っています。インフィニオンは、車輪速度センサの分野で第1位、サイドエアバッグとタイヤ圧モニタリングシステム向けの圧力センサの分野でも第1位のサプライヤです。今日の自動車には、1台平均20個の磁気センサと低圧センサが搭載されています。これらのうち4個は、インフィニオンが供給元となっています。インフィニオンは、EPS部門でも約3分の1の市場シェアを誇る第１位のサプライヤです。自動車市場の強力なパートナーとして、インフィニオンは1日あたり100万個以上のセンサを供給しています。

デュアルセンサパッケージソリューションとその製品ポートフォリオに関する詳細は、 www.infineon.com/dual-sensor  www.infineon.com/sensors をご覧ください。

インフィニオンについて

インフィニオン テクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率、 モビリティ、 セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2013会計年度（9 月決算）の売上高は38億4000万ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,700人です。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQX に株式上場しています。

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