インフィニオン、スイッチング損失を50%低減したMOSFETの次世代「CoolMOS™」を発表、ドライバIC「EiceDRIVER™」がシステムの耐久性で新しい標準に
2015年5月19日、ミュンヘン(ドイツ)
独インフィニオン テクノロジーズは、スーパージャンクション(SJ)MOSFETの新しいファミリー「CoolMOS™ C7」シリーズを発表しました。この耐圧600 Vのシリーズは、従来のCoolMOS™ CPシリーズと比べて、オフ時の損失を50%低減し、PFC(力率改善)、TTF(two transistor forward)、および、この他のハードスイッチングの回路構成において、GaNデバイスのようなレベルの特性を提供します。CoolMOS C7では、業界で初めて、単位面積当たりのオン抵抗(R DS(ON)*A)をわずか1Ω/mm 2と小さくしました。電力密度をさらに高めたいという要求に応えるために、これによって、パッケージ当たりのオン抵抗R DS(ON)が最も小さい製品のインフィニオンのポートフォリオを拡張します。この新しいCoolMOSシリーズは、超低スイッチング損失が特徴です。高効率で、かつBoM(部品表)とTCO(総保有コスト)の削減が要求されるサーバー、通信機器、太陽光発電装置、および産業用途などのアプリケーションで使う大出力スイッチング電源(SMPS)向けに最適です。
ハイパースケール データセンターやテレコム基地局などの高効率化と総保有コストが重要なアプリケーションでは、CoolMOS C7によって実現できるスイッチング損失の低減が貢献します。効率は、PFC回路で0.3%~0.7%、LLC(インダクタ-インダクタ-コンデンサ)回路では0.1%の改善が得られ、総保有コストの大幅な改善につながります。C7シリーズの600VのMOSFETを使うと、例えば、2.5 kWのサーバーの電源ユニットでは、電源ユニットの電力損失を約10%低減でき、エネルギーコストの削減になります。
エンタープライズサーバーなどのBoMとコストが重要な設計では、600 VのCoolMOS C7デバイスは、磁気部品のコスト削減を可能にします。ゲート電荷と出力容量が非常に低いので、C7は、効率をわずかに犠牲にするだけで2倍のスイッチング周波数で動作させることができます。これによって、磁気部品のサイズを最小化でき、全体の部品コストを削減でます。例えば、スイッチング周波数を65 kHzから130 kHzへと2倍にすると、磁気部品のコストを最大30%削減することができます。
600 VのCoolMOS C7ファミリーは、安定供給するためにウェハー直径300mmの2つの工場で製造する予定です。このファミリーでは、さまざまなオン抵抗R DS(ON)とパッケージを用意しており、4ピンTO-247パッケージなどの革新的なオプションもあります。4番目のピンが、高速な過渡現象に起因するソースインダクタンスによる電圧降下を除去することによって、全負荷時の効率を最大0.4%向上します。
「インフィニオンの高耐圧MOSFETのポートフォリオの一部として、新しい600VのCoolMOS C7ファミリーは、インフィニオンが2016年の初めに製品化を予定している来たるべきGaNデバイスへの大きな足がかりです」と、インフィニオンのビジネスラインAC / DC部門バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのピーター バーウァーは語っています。さらに、「CoolMOS C7デバイスは、最高200 kHzまでで最も低い損失と高い周波数を提供し、確立され実証された技術で量産可能です。同時に、インフィニオンのGaN技術は、さらに周波数範囲を拡大し、新しい回路構成を可能にするでしょう」とも述べています。
インフィニオンの新しいコンプリメンタリドライバIC「2EDN7524 EiceDRIVER™」は、業界標準のピン配置で、2つの独立した非絶縁型ローサイドゲートドライバを搭載しており、それぞれが5Aの吐き出し電流と吸い込み電流を供給可能です。2チャネルとも立ち上がり時間と降下時間は、5 ns(標準値)と短く、チャネル間の遅延時間のマッチングが1 nsと優れているので、全駆動電流を2倍にするために同時にスイッチングするように構成できます。大電流にもかわらず、出力段のオン抵抗が非常に小さいため、たとえ外付けゲート抵抗がないか、または非常に小さい値でも、ドライバの消費電力を最小限に抑えられます。システムの信頼性のためのグラウンドバウンスに対する優れた耐性は、制御入力とイネーブル入力において、直流-10 Vまで扱えるドライバICの能力によって裏付けられています。
供給状況
CoolMOS C7シリーズの600 VのMOSFETは当初、最大オン抵抗R DS(ON)が40mΩ~180mΩの範囲で、パッケージがTO-220、TO-247、4ピンTO-247の製品を用意しています。パッケージがTO-220 FP、DPAK、D 2PAK、ThinPAKのサンプルと、オン抵抗R DS(ON)の完全なポートフォリオは、2015年第3四半期に利用可能になります。DSO-8パッケージに収めたMOSFETドライバ2EDN7524は、2015年8月に量産を開始する予定です。パッケージや機能の追加のオプションは2015年第4四半期に利用可能になります。
CoolMOS C7シリーズの600 V品の詳細は、 www.infineon.com/C7-600Vをご覧ください。
MOSFETドライバ 2EDN7524の詳細は、 www.infineon.com/2EDNをご覧ください。
インフィニオン、PCIM2015に出展へ
インフィニオンは、2015年5月19日~21日にドイツのニュルンベルクで開催された展示会PCIMで、600 VのMOSFETであるCoolMOS C7とMOSFETドライバの2EDN7524に加えて、この他の革新的なシステム指向のソリューションを展示しました。この展示会の詳細は、 www.infineon.com/PCIM をご覧ください。
インフィニオンについて
インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は半導体分野の世界的リーダーです。インフィニオンはエネルギー効率、モビリティ、セキュリティという、現代社会が抱える3つの大きな課題に応えています。2014会計年度(9 月決算)の売上高は43億ユーロ、従業員は世界全体で約2万9,800人です。インフィニオンは2015年1月、パワー半導体技術の有数のプロバイダーであり、11億米ドル(6月29日を期末とする2014会計年度)の売上高と約4,200人の従業員を持つ米国企業のインターナショナル・レクティファイアーを買収しました。
インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場(ticker symbol:IFX)、米国では店頭取引市場(ticker symbol:IFNNY)のOTCQX に株式上場しています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
Information Number
INFPMM201505-057
Press Photos
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Infineon’s CoolMOS™ C7 600 V superjunction MOSFET offers a 50 percent reduction in turn-off losses, offering a GaN-like level of performance in PFC, TTF and other hard-switching topologies.TO-247-4-600V-c7
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Exceptional robustness of the 2EDN7524 EiceDRIVER™ against ground bounce for system reliability is ensured through the ability of the driver ICs to handle up to -10 VDC at the control and enable inputs.DSO-8-EiceDRIVER
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