インフィニオンのハイブリッド車/電気自動車向けパワーモジュール、スペース上の制約への対応と、高出力密度の実現を支援

2016年5月10日、ミュンヘン／ニュルンベルク（ドイツ）

世界的な二酸化炭素規制に2020年までに対応するには、電気自動車とハイブリッド車（HEV）の大規模な導入が不可欠です。二酸化炭素排出量の地域別の目標値は、欧州は1Kmあたりわずか95gで、米国は121g/km、中国は117g/km、日本は105g/kmとなっています。既存の自動車プラットフォームの電動化には、スペース上の制約が大きな課題となります。インバータは、通常は狭いエンジン部内に配置する必要があるため、可能な限り小型化が求められます。インバータのサイズを主に決定付けるのは、使用されるパワーモジュールです。その結果、パワーモジュールは、小型化を推し進めつつ、同時に電気駆動系の駆動に十分な電力を供給する必要があります。さらに、こうしたパワーモジュールのサイズを決定するのは、内部で使用されるパワーチップの消費電力と、こうしたチップが最大ジャンクション温度を超えないよう維持する冷却能力です。 

独インフィニオンテクノロジーズは、こうした課題の克服を支援するため、見本市「PCIM 2016」にて、ハイブリッド車と電気自動車向けの最新のパワーモジュール、「HybridPACK™ Double Sided Cooling（DSC）」ファミリーを紹介しました。新型パワーモジュールは、わずか42mm×42.4mm×4.77mmと、超小型の寸法を誇ります。対象となるのは、メインインバータやジェネレータなど、出力範囲（Typ.値）が40～50kWのHEVアプリケーションです。また、このモジュールを並列構成で使用することで、さらなる高出力にも対応が可能です。 

浮遊インダクタンスは15nHと非常に低い一方、耐圧は700Vまで拡大しました。これら2つの要因により、インバータシステムのスイッチング損失は約25%抑えられ、超高効率を実現しています。絶縁機能の内蔵により、本モジュールは、外部絶縁体なしに冷却器に直接接続できるため、システムの構築が簡素化されます。内蔵IGBTチップにはそれぞれ、渦電流保護用のオンチップ電流センサが搭載されています。さらに、オンチップの温度センサにより、過温度時にはディレーティングや高速シャットオフを行うことが可能になります。直接かつ高精度な検知技術により、システムの監視機能の向上が可能となります。このほか、車載用システムのサプライヤや自動車メーカーの機能安全アーキテクチャのシンプル化にも寄与します。

両面チップ冷却とヒートシンクの電気絶縁性が組み合わさることで、「HybridPACK DSC」の熱抵抗（R _thJC）は、0.1ケルビン/ワット（K/W）と大幅に抑えられます。これに対し、現行のパワーモジュール「HybridPACK 1」の熱抵抗は、0.12K/Wです。「HybridPACK DSC」モジュール技術では、電気的性能も向上しています。浮遊インダクタンスは重要なパラメーターであり、これを決定するのは、モジュールの寸法と、モジュールを通る電流の経路の入念な設計です。「HybridPACK DSC」の浮遊インダクタンス値はわずか15nHで、リファレンスモジュールとの比較では、約40%低くなっています。この結果、スイッチング損失は25%抑えられます。 

「 HybridPACK DSC 」パワーモジュールの提供状況

「HybridPACK DSC」ファミリーの第一弾は、ハーフブリッジ構成に400AのI _Cnomと700VのV _CESを実装した「FF400R07A01E3_S6」です。エンジニアリングサンプルの出荷は、2016年9月に開始予定です。さらに、2016年10月にはフルブリッジ構成でI _Cnomが200A、V _CESが700Vのファミリー製品のエンジニアリングサンプルも出荷開始する予定です。電力範囲の異なるその他の派生製品も、現在開発中です。 

詳細情報

「HybridPACK DSC」パワーモジュールおよびその他のインフィニオンのHEV向けパワーモジュールについての詳細は、 www.infineon.com/hybridをご覧ください。

インフィニオン、 PCIM 2016 に出展

インフィニオンは、パワーエレクトロニクス機器の見本市「PCIM 2016」（ドイツのニュルンベルクで2016年5月11日～12日に開催）に於いて、産業用、民生用、車載用のアプリケーションにおける効率的なシステムに向けた最先端技術を展示しました。インフィニオンのPCIMでのハイライトの概要は www.infineon.com/pcimをご覧ください。