インフィニオン、画期的技術を実現 革新的な半導体構造によって、エネルギー効率を大幅に向上

2007/06/13 | ビジネス&フィナンシャルプレス

ミュンヘン(ドイツ)


独インフィニオンテクノロジーズの研究チームは本日、より小型で強力な電子機器を生産する際に発生する障害の多くを取り除く最新のトランジスタ・アーキテ クチャについて、その詳細を日本で発表しました。これは、マルチゲートFET(電界効果トランジスタ)技術として知られており、インフィニオンが唱導する 高いエネルギー効率の達成という目標に貢献します。マルチゲート・トランジスタは、今日の65nm(ナノメートル)技術のトランジスタと比較して、オフ電 流を10分の1以下に抑えるとともに、トランジスタのスイッチング電流を50%低減します。インフィニオンの研究者は、マルチゲート・トランジスタを high-k(高誘電率)ゲート絶縁膜とメタルゲートとともに極めて複雑なデジタル回路に集積し、記録的なスイッチング速度と、高いリーク電流ならびにス イッチング電流効率を、初めて達成しました。国際的な半導体技術会議として大きな注目を集めるVLSIシンポジウム(於:京都)では、90を超える会議論 文が発表されました。インフィニオンの発表は世界中から集まった700名以上の研究者に高く評価され、欧州の最先端技術が極めて高い栄誉を獲得したと言え ます。


集積回路の開発者は、ピンの頭ほどの大きさの空間に数百万個ものコンポーネントを集積する必要があることも多く、数多くの課題に直面しています。彼らは、 製品により多くの機能を搭載しつつ、面積をできるだけ小さく抑え、リーク電流を最小限に維持しなければなりません。しかし、技術的にはこうした目標は互い に相いれないものとなります。トランジスタの面積を抑え、動作周波数を上げることでより多くの電力が必要となり、結果として、回路が活動していない状態や スタンバイ・モードでのリーク電流が増加し、また回路がオペレーティングモードの時には、スイッチング電流や有効電流が増加します。インフィニオンの研究 チームは、大きな関心を持って日本に集まった業界関係者に対して、このような課題の解決策を提示しました。

現在一般的に使用されている2次元の平面的な標準技術とは異なり、マルチゲートFETは3次元の構造を取ります。インフィニオンは、65nm技術による新 しいトランジスタ・アーキテクチャの試験を世界で初めて完了しましたが、ここでは2万3,000以上のトランジスタによる複雑なデジタル回路が使用され、 トランジスタには今日の高度な集積回路とSRAMで使用されている主要コンポーネントのすべてが集積されました。スイッチング時間は、この種のアーキテク チャを用いて測定された中では過去最短となる13.9ピコ秒となり、過去の結果と比較して40%の向上を実現したことで、新記録を樹立しました。13.9 ピコ秒とは、光ですら4ミリメートル近くしか進むことのできない時間です。


今回の研究結果について、インフィニオンのヘルマン・オイル(取締役会メンバー兼通信ソリューション事業グループ責任者)は次のように述べています。「当 社の測定によると、静止電流は今日の集積回路の10分の1となりました。これによって、モバイル機器の電力効率とバッテリ寿命は2倍になります。これらの 研究成果によって、マルチゲート・トランジスタ技術とアプリケーションについての当社のノウハウの組合せが、コスト効率の高いソリューションと消費電力に 敏感なアプリケーションを実現し、モバイル機器のユーザに対しバッテリの寿命を大幅に延ばすことができると確信を持つことができました。この最新のアーキ テクチャによって、ポータブル機器でビデオを最初から最後まで見ることが可能となるでしょう」


ゲームやビデオなどのアクティブ・マルチメディアでは、高い処理速度が要求されますが、高速化を実現するには消費電力の急速な増加が伴います。この結果、 場合によってはバッテリが1時間未満で切れてしまうことがあり、ユーザの失望を招いています。同時に、今日の携帯電話では、カーホルダーに取り付けられた 場合など、周辺温度が急上昇する環境では、スタンバイ時の消費電力が3倍にもなることがあります。インフィニオンの最新アーキテクチャは、このような事態 を阻止し、電力効率を大幅に向上させます。アクティブ動作時にはバッテリの持続時間が2倍になり、スタンバイ・モードではデジタル・ベースバンド・プロ セッサの消費電力が10分の1となる見込みです。


トランジスタによるオンオフの切り替えを確実に行い、所要電力をできる限り低く抑えるため、インフィニオンはこれまで新たな方向性を提示してきました。過 去50年にわたり平面的(2次元)であったトランジスタの標準的なアーキテクチャを現在、3次元構造で設計しているのです。通電を行うシリコンチャネルを トランジスタのゲート電極がさまざまな方向から包むような構造となり(マルチゲート)、トランジスタのオフに使用される接触面積が2倍となりました。

インフィニオンでは、この新しい製造プロセスの研究を継続して実用化し、大量生産の基本技術(32nm技術ノード以降)として使えるようにしたいと考えて います。なお、開発は、欧州の研究所やIMEC(Interuniversity Micro Electronics Center、本部:ベルギー・ルーベン)が推進するコアパートナープログラムも活用して進めます。

インフィニオンについて

インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、エネルギー効率、モビリティ、安全性とセキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体 およびシステムソリューションを提供しています。2006会計年度(9月決算)の売上高は79億ユーロ(キマンダの売上高38億ユーロを含む)、従業員は 世界全体で約4万2,000人(キマンダの従業員約1万2,000人を含む)でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米国ではカリフォルニ ア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、フランクフルトとニュー ヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト:http://www.infineon.com
オンラインのニュースリリース:http://www.infineon.com/jp

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INFCOM200706.068e

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  • At the VLSI symposium in Kyoto, Japan, Infineon demonstrates its capability for large scale integration using Multigate-FinFET technology.Pictured here is a critical path circuit as reference to µ-controller.It contains some 10.000 devices and integrates flip-flops and stacks (NAND/NOR) with high fan-out.
    At the VLSI symposium in Kyoto, Japan, Infineon demonstrates its capability for large scale integration using Multigate-FinFET technology.Pictured here is a critical path circuit as reference to µ-controller.It contains some 10.000 devices and integrates flip-flops and stacks (NAND/NOR) with high fan-out.
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