家電、保健・医療用機器の省電力化に向けて欧州技術協力プロジェクト「SmartPM」が始動 インフィニオンがプロジェクト調整を担当
浪費電力の徹底的な削減を目指す
ノイビーベルク(ドイツ)
気候変動や厳しい排出規制、エネルギー資源の枯渇、エネルギー需要の増加といった問題に関心が高まるにつれ、有効電気エネルギーの効率的な利用が一層重視されるようになっています。独 インフィニオンテクノロジーズはこの課題に取り組むために、他に欧州の17企業をパートナーとして、家電機器や電源、保健・医療用機器における電力の浪費を徹底削減する目的をもった技術協力プロジェクト「 SmartPM(家庭と医療におけるスマートな電力管理)」を立ち上げました。インフィニオンが調整役を務めるこのプロジェクトでは、参加機関の共同研究を通じて、機器の性能を損なうことなく最大25%と いう大幅なエネルギー効率の向上を実現します。それは同時に、消費電力を1キロワット時節減するごとにCO2排出を全体で540グラム削減することにもなります。欧 州の技術協力プロジェクトであるSmartPMには、ベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデンの企業や学術機関が参加しています。
現在のところ特に高い省電力効果が見込まれる機器は、サーバーやデスクトップパソコン、ノートパソコンなどに使用されているモーターや電源、および携帯機器用の充電器です。たとえば、冷 蔵庫やエアコン、洗濯機、食器洗い機などに組み込まれている電子制御式モーター駆動装置については、最大35%のエネルギー効率改善が可能です。複数の市場調査機関の予測によれば、2 011年には世界で約6,000万台のサーバーが稼働すると考えられています。サーバー1台あたりの平均消費電力を600ワットとすれば、世界中でサーバーが消費する電力は36ギガワットに達します。消 費電力を1%削減するだけでも、360メガワット、すなわち水力発電所ひとつ分の出力に相当する電力を節約できることになります。また、高効率電源では冷却に要する電力も少なくて済むため、さ らなる省電力効果が得られることも重要なポイントです。
SmartPMプロジェクトでは、全18企業が共同でチップ回路設計(チップセット、チップメモリ、電源管理、専用ドライバーICなどを含む)における革新的コンセプトを打ち出し、シ ステムアーキテクチャやパワーモジュールの開発を行います。半導体テクノロジーとしては、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコンカーバイド(SiC)などが検討されています。こ れらのテクノロジーによって、低電圧(100ボルト以下)、定格電圧(120~400ボルト)、高電圧(1,000ボルト以上)などの異なる電圧範囲に対応します。
SmartPMプロジェクトのメリットを享受するアプリケーション
モーター駆動装置を含む家電機器としては、洗濯機(全世界の年間出荷台数は約7,500万台、洗濯乾燥機を含む)、冷蔵庫(同約9,000万台)、冷凍冷蔵庫(同約900万台)、食器洗い機( 同約2,300万台)、ルームエアコン(同6,500万台)、ノートパソコン用電源(2008年の出荷台数は約1億3,000万台)、省エネスタンバイ機能付きのプラズマおよび液晶ディスプレイ/テレビ( 同約1,000万台)などがあります。医療用機器には、超音波検査装置やX線装置(2008年の生産台数は約9,500万台)などがあります。
SmartPMプロジェクトの期間は2012年1月までの予定で、総予算は約2,000万ユーロ、うち半分はパートナー企業が出資します。また、欧州ナノエレクトロニクス・イニシアチブ諮問委員会( ENIAC)がサブプログラム「SP4 Nanoelectronics for Energy & Environment」の一環として約330万ユーロを支援するほか、以 下の国レベルの資金援助機関からも600万ユーロ以上の資金が提供されます。ドイツ連邦教育・研究省(BMBF)、ベルギーのフランダース科学技術活用イノベーション促進機構(IWT)、フランス経済金融産業省、 産業担当大臣補佐(STSI)、アイルランド政府商務庁、イタリア大学・科学技術研究省、イタリア欧州研究促進局(APRE)、オランダSenterNovem、ノルウェー・リサーチ・カウンシル、ス ペイン教育科学省(DGI)、スウェーデン・イノベーションシステム庁(VINNOVA)。
SmartPMプロジェクトのパートナー
SmartPMプロジェクトには、以下の半導体、パワーモジュール、ソフトウェア企業、モーター駆動装置および医療機器のメーカー、学術機関が参加しています(アルファベット順)。ス ペイン国家研究会議(スペイン)、デルフト工科大学(オランダ)、ダブリン・シティ大学(アイルランド)、EBM-Papst Mulfingen(ドイツ)、Elec-Con technology(ドイツ)、 フラウンホーファー協会(ドイツ)、GE Vingmed Ultrasound AS(ノルウェー)、インフィニオンテクノロジーズ(ドイツ)、JLT Mobile Computers Sweden( スウェーデン)、Kontron Embedded Modules(ドイツ)、Microspire(フランス)、On Semiconductor(ベルギー)、Philips Consumer Lifestyle BV(オランダ)、Philips Technologie GmbH Forschungslaboratorien(ドイツ)、Stiftelsen Sintef(ノルウェー)、S TMicroelectronics(イタリア)、Telefunken Semiconductors(ドイツ)、Thales Research and Technology(フランス)。
SmartPMプロジェクトの発起者であるENIACに関する詳細は、 www.eniac.eu をご覧ください。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、エネルギー効率、コミュニケーションズ、セ キュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2008会計年度(9月決算)の売上高は43億ユーロ、従 業員は世界全体で約2万9,100人でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米国ではカリフォルニア州ミルピタス、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQXに株式上場されています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
Information Number
INFXX200909.082