「RELY」 研究プロジェクト ： チップ設計の新たな手法を研究

ノイビーベルク（ドイツ）

ドイツ貿易の成功を決定付ける要因として、ハイテク製品の品質と信頼性が、以前にも増して重要な存在となりつつあります。これを受け、ドイツの産学パートナー7団体が、3年間の「RELY」プ ロジェクトで協力し、最新のマイクロエレクトロニクス・システムの品質、信頼性、強度を高める方法を研究することになりました。研究の中心となるのは、電気自動車をはじめとする交通や医療技術、オ ートメーションなどのアプリケーションです。

上記の分野では、マイクロエレクトロニクスの果たす役割が今後数年間で大幅に拡大する見込みです。今日の一般的な自動車には合計300ドル程度の半導体部品が使用されていますが、ハ イブリッド車や電気自動車では、この数字は約900ドルにまで上昇することになります。安全性と快適性を高めるエレクトロニクス・システムは今後、自動車市場に大きく浸透すると考えられます。こ うしたシステムの一部では、膨大な演算能力が求められますが、これによって、暗所での速度標識や通行人の認識、自動駐車システム、レーダー方式のドライバー支援システム、緊急通話システムなどが可能になります。こ れらのタスクを遂行するため、それぞれの半導体部品には、これまで以上に多くの機能が求められると同時に、航空宇宙業界のそれに匹敵するほどの厳格な品質基準・安全基準が要求されます。

RELY研究プロジェクトでは、未来のマイクロエレクトロニクス・システム向けの新たな開発プロセスの策定と、信頼性と安全性に関する新たな基準の導入を目指しており、「Information and Communications Technology 2020」プログラムの下、独連邦教育研究省（BMBF）より740万ユーロの資金提供を受けています。参加団体は、プ ロジェクトリーダーの独インフィニオンテクノロジーズのほか、EADS Deutschland GmbH、フラウンホーファー協会、MunEDA GmbH、X-FAB Semiconductor Foundries AG、ミュンヘン工科大学、ブレーメン大学で構成されます。

RELYが目指すのは、信頼性重視のチップ設計手法
RELY研究プロジェクトは、チップの開発プロセス全体を通じ、信頼性を新たな目標基準として確立する上で基礎を成すものです。これまでは、実装面積、パフォーマンス、消費電力を中心に、最 適化が図られてきました。研究過程を通じ、参加団体が目指すのは、チップが自動的に動作状態を決定し、これに反応し、エレクトロニクス・システムと通信も行うことのできる、かつてないチップ・ア ーキテクチャの開発です。将来的には、いわゆるチップのセルフテスト機能により、エレクトロニクス・システムの損耗について、潜在的な兆候をタイムリーに警告することが可能になると考えられます。こうした機能は、 生産工場、鉄道・自動車、医療用インプラント（インスリンポンプ等）など、長期間の高信頼性動作が要求されるアプリケーションで特に重要となります。

チップのセルフテスト機能の実装に向けて、まずは、さまざまな準備活動を中心に研究を行います。参加団体は、製造技術のモデリングの拡大、新たなチップ設計仕様の策定、高 度な設計レベルにも対応した新たな特性の定義、信頼性に関するシステム・シミュレーションとチップ検証の実現に取り組みます。

ドイツRELY研究プロジェクト（BMBFの資金拠出参照番号：01M3091）は、同名の欧州CATRENEプロジェクトの一環として行われるもので、このプロジェクトについても、イ ンフィニオンが調整役を担当しています。

インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率、 モビリティ、 セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2 010会計年度（9月決算）の売上高は32億9,500万ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,650人 ¹でした。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQXに株式上場されています。

インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト： http://www.infineon.com
日本法人サイト： http://www.infineon.com/jp

¹本数値には、インテルコーポレーションに売却された携帯電話事業（ワイヤレス・ソリューション事業部）の従業員約3,500名が含まれています。