2012会計年度第1四半期業績:売上・利益ともに見通しを若干上回る結果に
■ 四半期の売上高は10億3,800万ユーロから9億4,600万ユーロに減少
■ 優れた成長と収益性:メモリとマイクロプロセッサを除く2011年(暦年)の成長率は、業界平均3%に対し、14%を達成
■ 事業部合計利益率は、通期の目標と同水準の14.9%
■ 将来の成功に向けた持続的な取り組み:2億9,400万ユーロの景気循環対策投資により、競争力の高い300mm製造体制に移行、研究開発費と販売費は高水準を維持
■ 強力なリターン:四半期のRoCEは27%、完全希薄化後の株式数は1.0%減
■ 2012会計年度第2四半期見通し:売上高は横ばいないし微減、事業部合計利益率は約1パーセンテージポイント減の見込み
ノイビーベルク(ドイツ)
独インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は2月1日、2011年12月31日を末日とする2012会計年度第1四半期の業績を発表しました。
インフィニオンテクノロジーズ最高経営責任者(CEO)のピーター・バウアー(Peter Bauer)は、次のように述べています。「厳しい経済環境にもかかわらず、イ ンフィニオンは堅調な収益性を確保し続けています。競合他社と比べて堅調な売上が示す通り、変動性が低く、収益性が高いビジネスに焦点を合わせた当社の戦略は成果を上げています。エネルギー効率、モビリティ、セ キュリティの各市場で今後の収益ある成長を確保するため、当社は引き続き、研究開発、顧客関係、製造能力向上のための投資を行なっていきます」
2012会計年度第1四半期のグループ業績の詳細
インフィニオンの第1四半期の売上高は、前年同期の10億3,800万ユーロに対し、9億4,600万ユーロとなりました。この減収は、世 界経済の先行き不透明感に伴う顧客の警戒感によるものです。
第1四半期の事業部合計利益は、前四半期の1億9,500万ユーロから減少し、1億4,100万ユーロとなりました。第1四半期の事業部合計の利益率は、前 四半期の18.8%から14.9%へと減少したものの、グループの通期目標である15%とは同水準を維持しました。事業部合計利益および事業部合計利益率の低下の主な要因は、売上高の減少にあります。研 究開発費などの営業費用が予定および前四半期を若干下回った結果、四半期の事業部合計利益率は引き続き、事前の見通しを若干上回りました。
継続事業からの利益は1億400万ユーロで、前四半期の2億4,700万ユーロから減少しました。事業部合計利益の減少に伴い、継続事業からの利益には、前 四半期に発生した税優遇措置7,500万ユーロを差し引いた税費用2,000万ユーロが含まれています。継続事業からの基本および希薄化後の一株あたり利益は、前 四半期からそれぞれ0.23ユーロおよび0.22ユーロ減少し、0.10ユーロとなりました。
非継続事業からの損失は、2011会計年度第4四半期の1億2,200万ユーロから大幅に減少し、2012年会計年度第1四半期は800万ユーロとなりました。非 継続事業からの基本および希薄化後一株あたり損失は、前四半期の0.11ユーロから減少し、0.01ユーロの損失となりました。
純利益は、前四半期の1億2,500万ユーロから9,600万ユーロに減少しました。基本一株あたり利益は、前四半期の0.12ユーロに対し0.09ユーロ、希薄化後一株あたり利益は、前 四半期の0.11ユーロに対し0.09ユーロとなりました。
有形固定資産の購入、無形資産の購入、資本化された研究開発資産の合計として定義される投資額は、前四半期の2億7,300万ユーロから2億9,400万ユーロに上昇しました。第1四半期に、年 間投資予算の約3分の1がすでに投じられたことになります。
減価償却額は、前四半期の9,800万ユーロとほぼ横ばいの9,700万ユーロでした。直近の数四半期での投資額の増加に伴い、減価償却額は増加しているものの、2012会計年度第1四半期には、ク リム(マレーシア)の旧型施設の減価償却の完了が、これを相殺して余るものとなりました。
第1四半期の継続事業からのフリーキャッシュフロー1は、2億3,400万ユーロの赤字となりました。なお、前四半期の継続事業からのフリーキャッシュフローは、9,700万ユーロの黒字でした。こ うしたフリーキャッシュフローの推移は、利益の減少、2億9,400万ユーロの投資、運転資金の2億200万ユーロの増加を反映したものです。
フリーキャッシュフローの赤字、キャピタル・リターンの追加7,000万ユーロ、および債務の純減2,300万ユーロにより、インフィニオンのグロス現金残高は、2 011年9月末時点の26億9,200万ユーロから23億3,700万ユーロに減少しました。ネット現金残高は、前四半期末の23億8,700万ユーロから20億6,800万ユーロに減少しました。
キャピタル・リターン・プログラムの下、インフィニオンは、2014年満期の転換社債を額面価格1,900万ユーロで買い戻しを行い、5,000万ユーロを支出しました。こ れにより完全希薄化後発行済み株式数は、事実上約800万株(約0.7%)削減されました。さらに、当四半期中には合計300万株のプット・オプションを行使し、2,000万ユーロの資金支出を行いました。こ の結果、完全希薄化後株式数の0.3%にあたる300万株を買い戻しました。
インフィニオンの監査役会および取締役会、年次株主総会にて、前年度から20%増額となる一株あたり0.12ユーロの配当を提案
2011年11月23日、インフィニオンの取締役会と監査役会は、次回の年次株主総会にて配当を20%増額し、資 格普通株式一株あたり0.12ユーロとする提案を行うことを決定しました。2010会計年度には、一株あたり0.10ユーロの配当を支払いました。2 012年3月8日に開催される次回の年次株主総会にて提案が承認された場合、資格株式の有効数によって異なりますが、配当金支払総額は約1億3,000万ユーロとなる見込みです。
1 フリーキャッシュフローとグロス現金残高、純現金残高の定義と計算方法については、原文11~12ページをご参照ください。
主な製品とイノベーション
景気循環対策投資の方針に従い、将来の成長機会を完全に活用するという取り組みを通じ、インフィニオンは、経済的に困難な時期でも投資、研究開発費、販売費を高水準で維持します。
その一例として、2012会計年度第1四半期には、2億9,400万ユーロという高水準の投資を行なっています。こうした投資には、再生可能エネルギーや電気自動車、変速駆動装置、電 力消費デバイスのより効率的な電力変換などの長期的な成長トレンドに伴って将来の成長の実現を目指すという側面があります。その一方で、ドレスデンにおける300mm薄ウェハを用いたパワー半導体の生産、コ スト効率の高いクリム(マレーシア)の拠点での2つ目の200mmウェハ製造施設の建設、ツェグレード(ハンガリー)におけるパワーモジュールの生産能力の拡大、多数のオートメーション・プ ロジェクトやクオリティ・プロジェクトの推進など、長期的な競争力の確保・拡大に向けた投資も行なっています。
インフィニオンでは、市場で成功を収めるため、他社との差別化を図り、お客様にとっての有用性を高める革新的な技術の開発に取り組んでいます。その一例を以下に紹介します。
• 近距離無線通信(NFC):スマートフォンなどのモバイル機器を決済手段、公共交通機関などのチケット、鍵として利用可能にします。NFC技術は、今後高い成長率が期待される分野です。2 012年1月に発表されたIMS Research社の調査によると、インフィニオンは2011年のNFCセキュリティ・マイクロコントローラ市場で51.5%という圧倒的なシェアを誇ります。
• ARM®ベース32ビット「XMC4000」マイクロコントローラファミリ:電動モータ、ファクトリーオートメーション、太陽光発電インバータなど、産 業用アプリケーションに最適化されたARM®ベースの32ビット「XMC4000」マイクロコントローラの新ファミリも発表したばかりです。この新型デバイスを使用するお客様に、イ ンフィニオンの持つシステムの専門知識、ソフトウェア開発作業の負担軽減や最高の柔軟性というメリットをご提供します。
2012会計年度第2四半期の見通し
自動車業界の一部顧客の間で信頼感が継続しており、チップカード市場と低消費電力市場で安定化の初期兆候が見られることを踏まえ、インフィニオンでは、2 012会計年度第2四半期の売上高について、第1四半期と横ばいから微減と予想しています。売上高見通しの内訳として、オートモーティブ(ATV)事業部の売上高は上昇、チップカード&セキュリティ(CSS)事 業部はほぼ横ばいと予想されます。季節的な鈍化により、パワーマネジメント&マルチマーケット(PMM)事業部では減収が予想されるほか、インダストリアル パワーコントロール(IPC)事業部については、こ の事業の周期遅れの性質により、売上高は減少し続ける見込みです。
事業部合計利益率は、約1パーセンテージポイント減少する見込みです。自社の成長見通しを視野に入れて、インフィニオンは、2012会計年度第2四半期の研究開発費および販売管理費について、前 四半期より微増とする計画です。
先に発表した通り、インフィニオンは、2012年1月1日付けで、インダストリアル&マルチマーケット(IMM)事業部を、パワーマネジメント&マルチマーケット(PMM)事業部とインダストリアル パワーコントロール(IPC)事業部の2つに分割します。2012会計年度第2四半期以降は、新たな組織体系に基づく形でのみ、会計報告を行います。
2012会計年度第1四半期の事業部ごと業績詳細
ATV事業部の第1四半期の売上高は、1%とわずかに減少し、3億9,100万ユーロとなりました。ATV事業部の利益および事業部利益率は、前 四半期が6,600万ユーロおよび17%だったのに対し、5,500万ユーロおよび14%となりました。事業部利益率の減少の背景としては、売上高が微減したと同時に、営 業費用および製造費用が上昇したことがあります。
IMM事業部の売上高は、前四半期の4億7,200万ユーロから4億1,800万ユーロに減少しました。過去数四半期には、旺盛な需要とこれに伴う堅調な増収が見られましたが、その後、パワー製品、非 パワー製品への需要は減少しました。中でも、変速駆動装置、牽引駆動装置、再生可能エネルギーなど、産業用アプリケーション向けのパワー半導体への需要と中国からの需要が弱含みとなりました。減収に伴い、I MM事業部の利益は、前四半期の1億1,300万ユーロから7,900万ユーロに減少しました。事業部利益率は19%でした。
季節的動向、決済アプリケーションの低調、タイの洪水被害が当社の政府系ID事業に及ぼした影響により、CCS事業部の売上高は、1億1,600万ユーロから9,700万ユーロに減少しました。こ うした減収などにより、CSS事業部の利益は、前四半期の1,600万ユーロから600万ユーロに減少しました。CSS事業部の事業部利益率は6%に低下しました。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率、 モビリティ、 セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2011会計年度(9月決算)の 売上高は40億ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,000人です。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQXに株式上場しています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
Information Number
INFXX201202.021