厳しい市場環境にもかかわらずインフィニオンの業績は良好 –売上高、利益とも予測値を達成

2019/08/01 | 四半期レポート

2019/8/1 | 四半期レポート 

  • 2019会計年度第3四半期:売上高は20億1,500万ユーロ、事業部合計利益は3億1,700万ユーロ、事業部合計利益率は7%
  • 2019会計年度第4四半期の見通し:平均為替レートを1ユーロ=15ドルとする想定に基づき、売上高は前四半期比1%(±2パーセンテージポイント)増と予想。業績予想の中心となる事業部合計利益率は約14.5%と予想
  • 2019会計年度通年の見通しを維持:売上高は80億ユーロ、事業部合計利益率は16%と予想
  • Cypress社を事業価値(EV)90億ユーロで買収することを発表、15億ユーロの増資と買収ファイナンスのシンジケート団結成を含めて資金調達の第一段階を成功裏に完了 

 

2019年8月1日、ノイビーベルク(ドイツ)

 インフィニオン テクノロジーズは本日、2019会計年度第3四半期(2019年4月~6月)の業績を発表しました。

 インフィニオンの最高経営責任者(CEO)、ラインハルト プロス(Dr. Reinhard Ploss)は、次のように述べています。「インフィニオンは目標に向かって順調に歩みを進めています。世界経済は低迷が続いているものの、グループ売上高は第3四半期にも再び増加しました。急成長の動きは不在ながら、全体としての需要は堅調です。マクロ経済環境は不安定な状況が続いているものの、インフィニオンは引き続き今会計年度の目標を達成できると予想しています。将来の市場を見据えたインフィニオンの潜在的推進力は不変で、さらなる長期的成長が期待できます。」

2019 会計年度第3四半期のグループ業績

インフィニオングループの2019会計年度第3四半期の 売上高は、前四半期の19億8,300万ユーロから2%増の20億1,500万ユーロとなりました。第2四半期と比較してややドル高となったことが好影響をもたらしました。、オートモーティブ事業本部(ATV)、インダストリアルパワーコントロール事業本部(IPC)、パワーマネジメント&マルチマーケット事業本部(PMM)、およびデジタルセキュリティソリューションズ事業本部(DSS)の4事業部全てで売上が増加しました。 

第3四半期の 粗利益率は36.5%で、これに対し前四半期は37.8%でした。これには、主に以前に行ったインターナショナル・レクティファイアー社の買収に起因する、減価償却費およびその他の費用が総額1,400万ユーロ含まれています。 調整後粗利益率は前四半期の38.5%から37.2%に低下しました。 事業部合計利益は3億1,700万ユーロで、これに対し前四半期は3億3200万ユーロでした。第3四半期の 事業部合計利益率は前四半期の16.7%に対し15.7%でした。 

非事業部損益は3,400万ユーロの純損失で、前四半期は2,700万ユーロの純損失でした。第3四半期の数値には、1,400万ユーロの売上原価、1,300万ユーロの販売費および一般管理費、および100万ユーロの研究開発費が含まれています。また計画されている米国Cypress Semiconductor Corporation(「Cypress社」)の買収に関連して600万ドルの営業費用が発生しました。 

営業利益は2億8,300万ユーロで、前四半期は3億500万ユーロでした。 

金融収支は3,100万ユーロの純費用でした。これにはCypress社買収計画の資金調達に関する増資に伴う、株式市場関連リスクのヘッジコスト2,200万ユーロが含まれています。前四半期の金融収支は900万ユーロの純費用でした。 

法人税費用は前四半期の4,600万ユーロから2,800万ユーロに減少しました。 

継続事業からの利益は前四半期の2億4,900万ユーロから2億2,400万ユーロに減少しました。 純利益も2億2,400万ユーロとなりました。前四半期の純利益2億3,100万ユーロには、非継続事業からの損失1,800万ユーロの影響が含まれていました。第3四半期の 非継続事業からの損益はプラスマイナスゼロでした。 

継続事業からの1株当たり利益は前四半期の0.22ユーロに対し0.20ユーロでした(基本的および希薄化後とも)。 調整後1株当たり利益 [1](希薄化後)は前四半期の0.24ユーロに対し0.23ユーロとなりました。 

インフィニオンが有形固定資産および無形固定資産の購入額、ならびに開発資産の合計として定義する 投資額は、前四半期の3億4,900万ユーロから3億4,400万ユーロにわずかに減少しました。 減価償却費及び償却費は前四半期の2億3,300万ユーロから、当四半期には2億3,800万ユーロへの微増となりました。 

第3四半期の継続事業による フリーキャッシュフロー [2]は、前四半期の1億3,700万ユーロのマイナスから6,300万ユーロのプラスに改善しました。 継続事業における営業活動による純キャッシュフローは、前四半期の2億1,500万ユーロから3億9,600万ユーロに増加しました。 

インフィニオンの第3四半期末現在の グロス現金残高は34億3,500万ユーロで、これに対し前四半期末現在は18億8,200万ユーロでした。 純現金残高は3億3,300万ユーロから19億ユーロに改善しました。どちらの残高にも、Cypress社買収計画に関連して2019年6月18日に実施した増資による15億ユーロの調達額が含まれています。 

Cypress社買収計画の購入代金に係る為替レート変動リスクに対するヘッジとして、本取引の成立を条件とするユーロ/米ドル契約が締結されました。これに関連したキャッシュフローヘッジは、2019年度第3四半期末現在における9,500万ユーロの純資産額減少として反映され、損益計算書への影響はありません。 

Cypress 社買収計画

インフィニオンとCypress社は2019年6月3日に、Cypress社を買収するとの合意書に調印しました。インフィニオンは事業価値(EV)90億ユーロに相当する、一株あたり23.85米ドルでのCypress社買収を計画しています。 

インフィニオンのラインハルト プロスCEOは、次のように述べています。「Cypress社の買収計画は、インフィニオンの成長戦略において画期的な一歩です。インフィニオンとCypress社のポートフォリオは、相互に理想的な補完関係にあります。この買収により、インフィニオンの中核となるパワー半導体事業を長期的に強化することが可能となります。Cypress社が加わることにより、インフィニオンは将来の重要な市場における地盤をさらに固めると共に、成長を加速させることができます。」 

この買収案はすでにインフィニオンの監査役会とCypress社の取締役会から承認されています。この買収の完了には、Cypress社株主からの承認、該当する司法管轄区の規制に基づく承認、ならびに一般的な締結条件が満たされることが必要となります。買収完了は2019年末から2020年初頭を見込んでいます。 

まず当初の買収資金調達として、法的拘束力を持つ融資契約が少数の銀行から提供されました。最終的な資金調達スキームは投資適格の格付け維持を目指すものとなります。そのためインフィニオンは買収資金の約30%を自己資本で賄う予定です。残りの金額は借り入れと手持ち現金により調達されます。自己資本部分については、2019年6月18日に現金出資による増資が行われました。約1億1,300万株の新株が発行され、調達額は15億ユーロに上りました。これに続き、当初よりさらに多くの銀行を含むシンジケート団を通じ、買収資金の残額が成功裏に調達されました。 

2019 会計年度第4四半期の見通し

インフィニオンは平均為替レートを1ユーロ=1.15ドルとする想定に基づき、2019会計年度第4四半期の 売上高が前四半期から1%(±2パーセンテージポイント)増加すると予想しています。PMM事業部の成長率はグループ全体の成長率を上回る見通しです。ATV事業部の売上高はグループ全体とほぼ同じ成長率を見込んでいますが、IPPとDSS事業部の売上高は1桁台前半の減少を予想しています。業績予想の中心となる 事業部合計利益率は14.5%の見込みです。  

2019 会計年度の通期見通し

過去3四半期の実績と第4四半期の予測に基づき、インフィニオンは2019会計年度通期の 売上高見通しを80億ドルに据え置きました。前会計年度の売上高は76億ユーロでした。すなわち売上高成長率は前年比で5%をわずかに上回る見通しです。平均為替レートは1ユーロ=1.15ドルを想定しています。 事業部合計利益率は16%と予想しています。

 2019会計年度通年での有形固定資産、無形固定資産に開発資産を合計した 投資額は約15億ユーロを計画しています。この投資額にはフィラッハの新しい300 mmウエハを用いた半導体工場でのクリーンルーム建設費用が含まれています。 減価償却費及び償却費は約10億ユーロを見込んでおり、このうち約9,000万ユーロはインターナショナル・レクティファイアー社を主とする買収価額の配分による償却費です。

  2019 会計年度第3四半期の事業部別業績

ATV 事業本部の2019会計年度第3四半期の売上高は、前四半期の8億7,500万ユーロから8億8,800万ユーロに1%増加しました。電動ドライブトレーン製品と運転支援システムへの需要は再び拡大したものの、車両向けの従来型アプリケーション事業の売上高が引き続きわずかに低下しました。ATV事業本部全体の売上高は若干のドル高で推移したことにより増加しました。 事業部利益は前四半期の1億1,200万ユーロから9,800万ユーロに減少しました。 事業部利益率は12.8%から11.0%に低下しました。 

IPC 事業本部の当会計年度第3四半期の売上高は前四半期の3億4,700万ユーロから3億5,700万ユーロに増加しました。この3%の増加は主に太陽光発電と風力発電への需要が大きく拡大したことによるものです。産業用ドライブ事業もやや拡大しましたが、家庭電化製品の売上高はわずかに減少しました。 事業部利益は前四半期の6,700万ユーロから5,500万ユーロに減少しました。 事業部利益率は前四半期の19.3%に対し15.4%となりました。 

PMM 事業本部の当会計年度第3四半期の売上高は1%増の5億9,800万ユーロでした。前四半期は5億9,100万ユーロでした。この売上高増には、モバイル機器向け製品への需要における季節的要因および、為替が若干ドル高で推移したことが反映されています。AC-DC電源向け製品への需要は横ばい、DC-DC向け製品ではやや低下しました。 事業部利益は前四半期の1億3,200万ユーロから1億4,500万ユーロに増加しました。 事業部利益率は前四半期の22.3%から24.2%に上昇しました。 

DSS 事業本部の当会計年度第3四半期の売上高は、前四半期の1億6,400万ユーロから1億6,700万ユーロに2%増加しました。主因はペイメントシステムに対する需要拡大によるものです。他の分野での売上高はほぼ横ばいでした。 事業部利益は前四半期と同じ1,900万ユーロでした。 事業部利益率は11.4%で、これに対し前四半期は11.6%でした。

 

[1] 調整後純利益と調整後1株当たり利益(希薄化後)は、代替または上位の業績指標とみなすべきものではなく、IFRSに準拠して決定した純利益および1株当たり利益(希薄化後)に関する追加的情報とみなすべきものです。調整後1株当たり利益の計算方法については、英語原文13ページに詳細が記載されています。

[2] フリーキャッシュフロー、グロス現金残高、純現金残高の定義と計算方法は、英語原文17ページをご覧ください。

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