インフィニオン、新型コロナウイルスへの危機対応により、当会計年度下半期の業績見通しを大きく下方修正。一方、サイプレス社の買収効果により、中長期のビジネスモデルは一層強固なものに。
2020/5/4 | 四半期レポート
- 2020会計年度第2四半期実績:売上高は19億8,600万ユーロ、事業部合計利益は2億7,400万ユーロ、事業部合計利益率は8%。
- サイプレス社の買収は成功裏に完了。インフィニオンは自動車、産業機器、IoT向けシステムソリューションの有数のプロバイダーとして、世界の半導体メーカー上位10社へと躍進。
- 2020会計年度通期見通し:平均為替レートを1ユーロ=10ドルとする想定に基づき、売上高はサイプレス社を含めない場合76億ユーロ(±5%)、含めた場合には84億ユーロ(±5%)と予想。売上高が予想範囲の場合、サイプレス社を含めた事業部合計利益率は約12%と予想。
- 2020会計年度第3四半期見通し:平均為替レートを1ユーロ=10ドルとする想定に基づき、サイプレス社を含めた売上高は19億ユーロから23億ユーロの範囲と予想。売上高が予想範囲の中心値の場合、事業部合計利益率はパーセント単位でプラスの1桁台半ば(5%前後)と予想。
2020年5月4日、ノイビーベルク(ドイツ)
独インフィニオンテクノロジーズは本日、2020会計年度第2四半期(至2020年3月31日)の業績を発表しました。
インフィニオンの最高経営責任者(CEO)、ラインハルト プロス(Dr. Reinhard Ploss)は、次のように述べています。「世界はかつて目にしたことがないほどの重大な危機の渦中にあります。新型コロナウイルスのパンデミックによって前例のない規模の影響が生じており、半導体産業にも非常に大きな衝撃が及んでいます。当社もまたこうした大規模なグローバル経済低迷の影響を免れることはできません。しかしながらインフィニオンは危機的状況への対処を経験から学んでおり、サプライチェーン関連あるいは製造関連等あらゆる困難にもかかわらず、この数週間にわたり、ほぼ通常どおりの業務を維持できています。またコスト抑制策を早期の段階で導入しました。しかしながら当会計年度下半期の見通しは大きな下押しを余儀なくされると予想しており、オートモーティブ事業部(ATV)の売上高については急激な減少を見込んでいます。当社では、各ターゲット市場の動向を非常に注意深く監視すると共に、起こり得るさまざまな状況に迅速に対応できるよう準備を整えています。」加えてプロスは以下のように述べています。「困難な時期においてもインフィニオンは進化を続けています。サイプレス社買収の成功により、リアルとデジタルの世界とを融合する戦略において大きな前進を遂げたのです。」
2020 会計年度第2四半期のグループ業績
インフィニオングループの2020会計年度第2四半期の 売上高は、前四半期の19億1,600万ユーロから19億8,600万ユーロに4%増加しました。オートモーティブ事業部(ATV)、インダストリアルパワーコントロール事業部(IPC)、パワー&センサーシステムズ(PSS)事業部 [1]、およびデジタルセキュリティソリューションズ事業部(DSS)の4事業部すべてで増収となりました。
第2四半期の 粗利益率は前四半期の37.0%に対して34.5%でした。第2四半期には、主として以前行ったインターナショナル レクティファイアー社の買収に起因する、減価償却費および償却費、ならびにその他の費用が総額2,100万ユーロ含まれています。 調整後粗利益率は前四半期の37.9%から35.6%に低下しました。 事業部合計利益は前四半期の2億9,700万ユーロに対し、2億7,400万ユーロとなりました。 事業部合計利益率は前四半期の15.5%から13.8%に低下しました。前四半期の粗利益率と事業部合計利益率のいずれにも、製造関連間接費について配賦方法を集中配賦に改訂したことによる、約3,600万ユーロの一時的な押し上げ効果が反映されています。この一時的要因を除いた場合、前四半期の事業部合計利益率は13.6%でした。
非事業部損益は前四半期の3,100万ユーロの純損失に対して4,800万ユーロの純損失となりました。第2四半期の内訳は、売上原価が2,100万ユーロ、販売費および一般管理費が1,800万ユーロ、研究開発費が200万ユーロでした。これに加え、その他の純営業費用として700万ユーロが発生しています。
営業利益は前四半期の2億6,600万ユーロに対し2億2,600万ユーロとなりました。
財務収支は2,700万ユーロの純費用で、これにはサイプレス社買収に伴う借り換えに関連した金利リスクヘッジのための1,000万ユーロの費用が含まれています。前四半期の財務収支は1,300万ユーロの純費用でした。
法人税費用は前四半期の4,300万ユーロから2,100万ユーロに低下しました。
継続事業からの利益は前四半期の2億1,000万ユーロから1億7,800万ユーロに減少しました。 非継続事業からの損益は前四半期と同じくプラスマイナスゼロでした。これにより純利益も同様に前四半期の2億1,000万ユーロから1億7,800万ユーロに減少しました。
継続事業からの1株当たり利益は0.13ユーロ(基本的および希薄化後とも)で、これに対し前四半期は0.16ユーロでした。 調整後1株当たり利益 [2](希薄化後)は前四半期の0.17ユーロから0.13ユーロに低下しました。
インフィニオンが有形固定資産および無形資産の購入額、ならびに資本化された開発費用の合計として定義する 投資額は、前四半期の2億5,500万ユーロから2億4,700万ユーロに減少しました。 減価償却費および償却費は前四半期の2億5,000万ユーロからほぼ変わらず2億4,900万ユーロでした。
継続事業からの フリーキャッシュフロー [3]はプラス1億800万ユーロに改善し、前四半期のマイナス8,600万ユーロから再び黒字化しました。 継続事業での事業活動からのネットキャッシュフローは、前四半期の1億8,300万ユーロから3億5,400万ユーロとなりました。
第2四半期末現在の グロスキャッシュポジション [2]は45億8,800万ユーロで、これに対し前四半期末現在は48億5,900万ユーロでした。この減少は主に2020年2月に実施した1株当たり0.27ユーロ、総額3億3,600万ユーロの配当支払を反映しており、フリーキャッシュフローの黒字により一部は相殺されています。同期間、ネットキャッシュポジション [2]は33億2,800万ユーロから30億5,100万ユーロに減少しました。
サイプレス社の買収を成功裏に完了
インフィニオンはサイプレス社(Cypress Semiconductor Corporation)買収に必要なすべての許認可を2020年4月初旬に取得し、同月16日に買収を完了しました。インフィニオンとサイプレス社は2019年6月3日に、インフィニオンがサイプレス社を事業価値90億ユーロに相当する1株当たり23.85米ドルの現金にて取得する買収契約を締結したと発表していました。この買収の資金として、インフィニオンは手元現金に加え、銀行団の組成した買収ファイナンスの融資枠を使用しました。
サイプレス社の事業は取得日付けでインフィニオンの各事業部に割り振られ、業績への反映は第3会計四半期から開始されます。サイプレス社を含めたIFRSに基づく業績値発表は、2020年6月30日に終了する第3四半期が最初となる予定です。
2020 会計年度通期見通し
平均為替レートを1ユーロ=1.10ドルとする想定に基づき、インフィニオンはサイプレス社を除く従来からの業務範囲について2020会計年度通期の売上高を前年度比5%減の約76億ユーロと予想しています。サイプレス社の業績は2020年4月16日からインフィニオンに連結され、2020会計年度末までの売上高は約8億ユーロと予想しています。その結果、サイプレス社を含めたインフィニオン全体の売上高は約84億ユーロ(±5%)となる見込みです。しかしながらコロナウイルスのパンデミックによる経済の大混乱のため信頼性の高い予測を行うことは極めて困難であり、したがってこの見通しには大きな不確実性が伴います。上記の予想売上高に影響を及ぼす主な要因には、世界全体での感染率の推移、ならびに経済活動の見直し(特に自動車産業における見直し)があります。政府による支援プログラムの水準や有効性も重要な要因になると予想されます。
2020会計年度の売上高を84億ユーロとする想定に基づき、インフィニオンは 事業部合計利益率を約12%と予想しています。インフィニオンとサイプレス社の各既存事業は、それぞれの規模にほぼ比例して予想利益率に反映される見通しです。シナジー効果については短期的に大きく発現するものではないと見ています。オートモーティブ事業部(ATV)はコロナウイルスパンデミックによる影響を最も大きく受け、サイプレス社の事業を除いた場合の売上高は前会計年度から大きく低下すると予想されます。インダストリアルパワーコントロール事業部(IPC)とデジタルセキュリティソリューションズ事業部(DSS)の売上高は前会計年度からわずかに減少する見込みです。Power & Sensor Systems(PSS)事業部の売上高は前会計年度を若干上回る予想です。これらの予想売上高はいずれもサイプレス社による貢献分は除いたものです。
サイプレス社を含めたインフィニオンによる、2020会計年度の有形固定資産および無形資産への 投資額は、資本化された開発費用を含めて約12億ユーロから13億ユーロと予想しています。したがって、サイプレス社の統合にもかかわらず、投資水準はわずかに低下することになります。これはインフィニオンが従来の事業への支出を削減しているためです。 減価償却費および償却費は約10億ユーロの見込みです。ただしサイプレス社に関連した取得原価の配分についてはまだ明らかでなく、したがって上記の数字にはその影響は含まれていません。
サイプレス社を含めた フリーキャッシュフローは、同社買収とコロナウイルスパンデミックが大きな現金流出要因となり、それらを反映して大きくマイナスとなる見込みです。サイプレス社買収に関連した現金流出を除くと、フリーキャッシュフローは1億ユーロから3億ユーロのプラスと予想しています。
2020 会計年度第3四半期見通し
平均為替レートを1ユーロ=1.10ドルとする想定に基づき、サイプレス社を含めた予想売上高は19億ユーロから23億ユーロの見込みです。売上高が予想範囲の中心値の場合、 事業部合計利益率はパーセント単位でプラスの1桁台半ばと予想しています。
2020 会計年度第2四半期の事業部別業績
ATV 事業部の2020会計年度第2四半期の売上高は、コンフォートエレクトロニクス(快適性機能向け電子部品)およびマイクロコントローラへの需要拡大を主な要因とし、前四半期の8億2,900万ユーロから2%増の8億4,600万ユーロとなりました。 事業部利益は前四半期の6,700万ユーロに対して5,100万ユーロに、 事業部利益率は8.1%に対して6.0%となりました。
IPC 事業部の当会計年度第2四半期の売上高は、主に風力タービン、家庭用電化製品、および産業用ドライブへの需要拡大により、前四半期の3億3,400万ユーロから7%増の3億5,800万ユーロとなりました。太陽光発電および駆動装置の分野の売上高は前四半期からほぼ横ばいとなり、 事業部利益も前四半期から変わらず6,200万ユーロでした。 事業部利益率は前四半期の18.6%に対し17.3%となりました。
PSS 事業部の当会計年度第2四半期の売上高は、DC-DC電源製品の売上が大きく増加したことを主因とし、前四半期の5億9,300万ユーロから4%増の6億1,700万ユーロとなりました。モバイル機器用コンポーネントの売上高は微増となったものの、AC-DC電源用製品ではやや減少しました。 事業部利益は前四半期の1億4,600万に対して1億3,800万ユーロ、 事業部利益率は前四半期の24.6%に対して22.4%でした。
DSS 事業部の当会計年度第2四半期の売上高は、認証分野に加えて決済および発券業務の分野での売上増加により、前四半期の1億5,800万ユーロから3%増の1億6,200万ユーロとなりました。 事業部利益は前四半期の2,200万ユーロから2,300万ユーロに増加し、これにより 事業部利益率も前四半期の13.9%から14.2%に上昇しました。
[1] 2020年4月1日付けで「パワーマネジメント&マルチマーケット(Power Management & Multimarket)」事業部の名称が「パワー&センサーシステムズ (Power & Sensor Systems)」事業部に変更されました。この変更は名称のみであり、インフィニオンの組織構成、戦略、および事業範囲への影響はありません。
[2]調整後純利益と調整後1株当たり利益(希薄化後)は、代替指標または上位の業績指標とみなすべきものではなく、IFRSに準拠して決定した純利益および1株当たり利益(希薄化後)に関する追加的情報とみなすべきものです。調整後1株当たり利益の計算方法については、英語原文12ページに詳細が記載されています。
[3] フリーキャッシュフローとグロスおよびネットキャッシュポジションの定義と計算方法は、英語原文16ページをご覧ください。
インフィニオン について
インフィニオン テクノロジーズは、暮らしをより便利に、安全に、エコに革新する半導体分野の世界的リーダーです。明るい未来の扉を開く鍵になる半導体をつくることが、私たちの使命だと考えています。2019会計年度(9 月決算)の売上高は80億ユーロ、従業員は世界全体で約4万1,400100人。2020年4月のサイプレス社(本社:米国)買収により、世界の半導体メーカー上位10社に名を連ねています。
インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場(銘柄コード:IFX)、米国では店頭取引市場のOTCQX(銘柄コード:IFNNY)に株式上場しています。
Information Number
INFXX202005-054j