磁気共鳴方式給電―ワイヤレス電力伝送
使い勝手の良さと、複数デバイスへの同時給電能力
磁気共鳴方式ワイヤレス給電は、使い勝手の良さを強化したこと―トランスミッタのそば(一般には最大30㎜の垂直方向の自由度)であればデバイスをどこに置いても給電可能―そして異なるサイズや電源仕様の複数のデバイスに同時に給電できることなどの利点があります。6.78MHzで動作し、AirFuelアライアンスが規格化を推進しています。磁気共鳴方式のワイヤレス給電システムは、Bluetooth Low Energy仕様を使って通信を行いますが、独自の磁気共鳴方式ソリューションでは帯域内通信を使います。磁気共鳴方式ソリューションの開発には、D級(フルブリッジまたはハーフブリッジ)およびE級(シングルエンドまたはディファレンシャル)の2つの主要トポロジを使うことができます。
磁気共鳴方式充電は、非常に高い周波数で実施されます。このことにより、トランスミッタおよびレシーバ機器の標準的シリコンパワー技術、特に高電力設計においては大きな課題が生じます。D級ゼロ電圧スイッチング(ZVS)およびディファレンシャルE級が磁気共鳴方式ワイヤレス充電システムに使われます。いずれの手法も、パワーデバイスのオンおよびオフ間の遷移を、それぞれのパワースイッチのゼロ電圧にて行うことでスイッチング損失を抑えています。
D級トポロジは、バス電圧が100V未満でハーフまたはフルブリッジを使うことができ、スイッチングノードはゼロ電圧およびバス電圧間で切り替わります。回路は所要範囲の出力インピーダンスについて、ゼロ電圧スイッチングとなるようにチューニングされます。D級ZVSトポロジでは、システム効率向上のために、より低いブレークダウン電圧のデバイスを使うことができます。
E級トポロジは、シングルスイッチおよびデュアルスイッチのディファレンシャルオプションがあります。いずれの場合も、ドレインは共振回路に接続されます。ボディダイオード導通無しでゼロ電圧スイッチング用に正しくチューニングされている場合、ドレイン電圧ピークはDCバス電圧の3.56倍になります。理想的とは言えない条件下では、ドレイン電圧はずっと高くなる可能性があります。より単純なドライバアーキテクチャ(ローサイドのみ)でE級ブランチの各々にシングルスイッチを設けた構成にすることでシステムコストを削減できます。
CoolGaN™は、システム全体の性能を最大限に活用し(D級の場合)、ステムソリューションのコストも削減する(E級の場合)ため、どちらのトポロジにも好適です。寄生容量を大幅に削減したことで、CoolGaN™はMHz範囲(例えば6.78MHz)の周波数でのスイッチングに理想的な選択肢となっています。低VDSにて大きな増加を示さない、低い、ほぼ線形のCOSSが得られるため、幅広いインピーダンス範囲でZVSを実現できます。さらに、CoolGaN™は対応するシリコンMOSFETと比較して、QGおよびQOSSが非常に低いため、ドライバICと共に高速スイッチングを可能とします。