バッテリーマネジメントシステム(BMS)

バッテリーマネジメントシステムが必要な理由と動作の仕組み

バッテリーマネジメント (BMS) は、バッテリーの充放電を監視・制御する電子制御回路です。監視対象となる電池の特性には、電池の種類、電圧、温度、容量、充電状態、消費電力、残りの動作時間、充電サイクルなどの検出などがあげられます。

スマートバッテリー管理システム（BMS）の役割

バッテリー管理システムの役割は、バッテリー内に残っているエネルギーを最適に利用することです。バッテリーに負荷を与えないようにするため、BMSシステムは極端な急速充電と極端な高放電電流の結果である過電圧や、深放電からバッテリーを保護します。マルチセル電池の場合、電池管理システムはまた、異なる電池セルが同じ充放電要件を持っていることを管理するために、セルのバランシング機能を提供します。

TLE9012AQUは、車載、産業用、民生用アプリケーションで使用されるリチウムイオン電池パック用に設計されたマルチチャンネル電池監視・バランシングシステムICです。TLE9012AQUは、セル電圧測定、温度測定、セルバランシング、メインバッテリコントローラとの分離通信の4つの主要機能を果たします。さらに、TLE9012AQUは、制御されたバッテリーの適切な機能を保証するために必要な診断ツールを提供します。

主な利点：

> トランスやコモンモードチョークコイルを必要としない堅牢な通信

> ストレスセンサー技術により、はんだ付け後もクラス最高の電圧測定精度を実現

> 内蔵診断機能は、顧客が電池モジュールの機能安全を容易に設計できるようにします

> ローカルグランドのマイコンを使用したシステム向けの内蔵 UART 通信

システム設計者はTLE9015QUを使用して、強力な組み合わせを構成できます。本製品は、リチウムイオン電池内にデイジーチェーンで複数のTLE9012AQUデバイスを接続するために設計されたバッテリーモニタリング用トランシーバICです。2 つの ISO UART インタフェースペアにより、リング通信に対応し、低コストでシステムの可用性を向上させることができます。

また、各 TLE9012AQU にプログラム可能な複数の入出力を備えたエラー管理ユニットを搭載することで、双方向の情報フローを可能にしています。

バッテリー充電システムは、ACグリッドから高圧バッテリーを充電するために構築されています。自動車に搭載されているシステムは、車載充電ユニットです。 バッテリーの大容量化と電装品のエネルギー効率化により、バッテリーパックの電圧は高電圧化傾向にあり、約450Vで標準化される傾向にあります。これにより、充電時間の高速化をサポートし、車両内のケーブルを軽量化します。急速充電へと移行する傾向は、要求される電力範囲にも影響を与えるため、新たにシステムを設計する場合は11kW、あるいは最大22kWの傾向にあります。今日、一般的には送電網からバッテリーへの一方向の電力フローが使用されていますが、バッテリーから負荷へ、またはバッテリーから送電網へ、のような双方向の使用例もあります。

蓄電システムにおける車載充電器と電力変換の推奨製品、および設計ソリューションをご確認ください。

バッテリー充電器の基本的なタスクの1つは、限界温度を超えることなくバッテリーの電圧と電流を調整することです。このためには、バッテリーのパラメータ（電圧、電流、温度）を測定し、外部電源ネットワークを駆動するPWMデューティサイクルを制御する制御ループが必要です。アナログブロックを使用して実装された高精度ADC（最大14ビット）、デジタルブロックを使用して実装されたPWM、およびプロセッサコアを備えたPSoCは、制御に必要な制御ループを形成しています。セルバランシングや燃料計のような他のアルゴリズムは、ファームウェアロジックを使用して実装することができます。

PSoCを使用する利点は、バッテリーを充電するためのカスタムプロトコルの実装とCapSense、セグメントLCDドライブなど、専用のバッテリー充電器ICを使用する場合には不可能な他の機能の実装にあります。

電流/電圧、温度測定に加えて、熱、電気、機械的なひずみに関するパックレベルで、高度な分析が行われます。高精度の圧力センシングにより、過負荷/充電状態の結果としてセルハウジングが伸びる可能性を観察したり、バッテリーパックの機械的構造への機械的な影響を検出したりすることができます。セルの老化、過負荷の結果としてセルの電解液から蒸発したCO2の検知は、バッテリーの健全性を示す重要な指標として使用することができます。最後に、圧力センサーを組み合わせることで、圧力変化や3次元磁気構造の変化を測定し、セルの変更や交換など、パックの不正操作を検出することができます。

インフィニオンの圧力センサーのラインアップ、3次元磁気センサー、環境センサー（現時点では商用/産業用の品質認証を受けた製品のみ）の詳細をご覧ください。

インフィニオンのAURIX™マイクロコントローラは、車載充電器と充電中のBEVやPHEV間の通信を保護します。また、車載通信ネットワークも保護します。こうした先進的なマイクロコントローラは、OBCアプリケーションに必要なあらゆる安全性とセキュリティ機能を提供します。インフィニオンのAURIX™ 32ビットマイクロコントローラファミリ（SAK-TC275TP-64F200N DC、SAK-TC265D-40F200N BC、SAK-TC234LP-32F200N AC、SAK-TC224L-16F133N AC）は、自動車安全規格ISO 26262に準拠したスケーラブルな製品ラインアップを提供します。組み込みハードウェアセキュリティモデル（HSM）により、セキュアな通信を実現します。AURIX™はエレクトロモビリティ・アプリケーション向けに、ADCとタイマーを内蔵した最適化済みのペリフェラルセットを備えています。

絶縁監視は、高電圧バッテリーの鍵となります。短絡および過負荷電流測定と組み合わせて、高電圧DC+/-ラインの電圧をパックの機械的なパッケージおよび周囲のシャーシと比較し、継続的に測定します。高性能電流センサーを使用することで、クーロンカウント、充電状態、放電深度の計算など、バッテリーモニタリングや、バッテリー診断用の高度なインピーダンス分光法などの用途でも、精密電流測定を追加で使用することができます。

• 過充電、短絡、熱暴走時に、制御可能な緊急遮断が行えます。
• ソリッドステートベースの実装向けに、以下のようなシステムレベルでのメリットを促進します。
• トラクションモータ向けにメインインバータでDCバスのプリチャージ(追加部品なし)
• フォルト電流のアクティブな制限
• 高いスイッチングサイクルにより製品寿命を延長
• 過負荷/短絡が検出された場合、桁違いに高速で切断できるよう配線径が細い
• プログラム可能なスイッチング特性
• 最速の衝突保護
• ソリッドステートベースの実装により、電気的損失を電気機械式リレーよりも40%以上削減

推奨製品：

• 低周波数スイッチングアプリケーション向け高耐圧スーパージャンクションMOSFETスイッチ – 600V CoolMOS™ S7
• 高耐圧アプリケーション向けシングルチャネル絶縁型ドライバー1EDI2002AS
• シングルチャネル絶縁型ブースター1EBN1001AE

バッテリー保護のトポロジー詳細についてご覧ください。

バッテリーマネジメントシステム（BMS）では、システム全体に電力供給できる小型で信頼性の高いソリューションが求められます。複数の部品を実装でき、極端なバッテリー電圧変動を管理し、最新のネットワークインターフェースと車載用セキュリティの要件を満たすには、インフィニオンのパワーマネジメントIC　(PMIC)　の製品ラインアップが最適です。

PMICは、Traveo™、AURIX^TM、 PSoC MCUファミリーを使用したシステムソリューション用に、小型パッケージ、フットプリントで総合的に電源をサポートします。PMICに搭載されたブースト機能は、極端なバッテリー電圧変動下でのシステムブラックアウトを回避します。PMICの低静止電流は、常時オンの機能のスタンバイ電流を削減します。PMICはAEC-Q100に準拠しており、豊富なシステム安全機能により、最新の車両ECU要件に対応しています。

BMS向け推奨PMIC：

• S6BP20x series (S6BP201A、 S6BP202A、S6BP203A) PMICは、車載・産業アプリケーション向けの1チャネルの昇降圧DC/DCコンバータです。
• S6BP501A およびS6BP502A PMICは、3チャネルのパワーマネジメントIC（PMIC）です。降圧コントローラー、降圧コンバータ、昇圧コンバータから構成され、1つのパッケージで0V、3.3V、1.2Vを生成できます。静止電流は15μAです。
• S6BP401A PMICは、1つのパッケージで6チャネルの出力が可能なパワーマネジメントICです。4チャネルのDC/DCコンバータと2チャネルのLDOから構成されます。全チャネルの出力電圧設定抵抗、位相補償回路を内蔵することで、PCBサイズおよびBOMを削減しています。
• OPTIREG™ PMIC製品は、統合されたマルチレール電源ソリューションを提供しています。本製品ファミリーは、DC/DC、リニア、トラッキング・レギュレータを備えたプリおよびポスト・レギュレータ・アーキテクチャを含む高効率の電圧レギュレーションを提供しています。電源以外にも、追加のモニタおよび監視機能と機能が統合されています。効率と安定性の計算には、OPTIREG^TM スイッチャ・シミュレーション・ツールをご確認ください。

TLF35584は、広い入力電圧範囲の効率的で柔軟なプリ/ポストレギュレーターコンセプトにより、3.3V マイコン、トランシーバ、センサーを供給する安全関連アプリケーション向けの多出力システム電源です。スイッチング周波数の範囲が広いため、効率および小型フィルタ部品の使用量を最適化できます。専用のリファレンス・レギュレータは、マイコンの負荷ステップから影響を受けないADCを供給し、2つの独立したセンサー電源のトラッキング・ソースとして機能します。

充電用のセル温度は0～45°C、放電用のセル温度は-20～60°Cの間に保つ必要があるため、アクティブ熱制御は最新のリチウムイオン電池パックの重要な要素です。

• 内蔵モータコントローラは、内部で制御されているファン、ポンプ、パックの熱制御用のバルブを効率的に動作させる診断機能を内蔵し、効率的なモータ制御を可能にします。モータ近傍に組み込むには、小型パッケージと最小数の外付け部品であることが不可欠です。
• 不揮発性メモリ、アナログ/デジタルペリフェラル、LINインターフェース、パワートランジスタ用電流コントローラブリッジドライバを内蔵した32ビットマイクロコントローラ
• DCモータおよびBLDCモータは、ハーフブリッジ、Hブリッジ、3相ブリッジ回路用のオプションインターフェイスを介して動作します。

CYW89820 - CYW89820は、モノリシック、シングルチップ、Bluetooth 5.0準拠のスタンドアロン・ベースバンド・プロセッサSoCで、バッテリ・モジュール間の無線接続用に2.4GHzトランシーバを内蔵しています。産業、IoT、車載向け無線接続ソリューションの詳細はこちらをご覧ください。

このトレーニングでは、以下のことが学べます。

• バッテリー管理システム(BMS)の主な構成要素と機能
• バッテリー管理アプリケーション用のインフィニオンの主なコンポーネントと、インフィニオンのバッテリー管理デバイスの主な機能と利点

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バッテリーを最大限に活用。この10年間の終わりまでに、世界中で販売される新車の大半は、部分的または完全な電気駆動システムを搭載していると予想されます。バッテリー管理システムは、電気自動車の航続距離、コスト、耐用年数に大きな影響を与え、このモビリティ革命の重要な成功要因となっています。さらに、かつてのEVバッテリーを再生可能エネルギーのための柔軟な貯蔵庫として使用することを可能にするセカンドライフのコンセプトにおいても、バッテリー管理システムは重要な役割を果たしています。クレメンス ミューラー博士は、市場の動向と課題についての詳細な説明、インフィニオンの製品とソリューションの詳細、新しいBMS-IC TLE9012AQU独占的に紹介しています。

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トレーニングのトピック：

• 電気自動車市場のニーズにAURIX^TMがどのように応えているのか
• AURIX™ TC3xxが電気自動車の主要な課題にどのように対応しているのか理解し、また、詳細を学び、AURIX™ TC3xxマイクロコントローラの主な機能を理解。

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本トレーニングでは、以下のことをご理解頂けます。

• バッテリ管理システムとは何か
• インフィニオンAURIX™マイクロコントローラがバッテリ管理システムにもたらす主な利点

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