インフィニオンのLTT Prime Disc
光トリガサイリスタファミリー
近い将来、最大12GWの高電圧直流送電(HVDC)システムが計画されています。この種の先端技術では、大電力サイリスタが重要な部品になります。高電圧直流送電では、電子回路を少なくするために光トリガサイリスタ(LTT)が使われます。LTTには、光ファイバリンクによって、絶縁されたトリガが容易に得られるという利点があります。
インフィニオンのPrime Discファミリーは、内蔵ブレークオーバダイオード(BoD)、dv/dtおよび順方向リカバリ保護(FRP)を備えており、最新のHVDCコンバータのレイアウトを簡素化するのに役立ちます。
BoD保護 |
dv/dt保護 |
順方向リカバリ保護(FRP) |
光トリガサイリスタ(LTT)では、中央のpn接合のカーブを調整することによってBoD機能が内蔵されています。順方向電圧の状態では、このカーブを持ったpn接合によって、電界分布全体の最大値が常にデバイスの中央にあることが保証されています。 したがって、十分に高い順方向電圧が印加された場合、BoDから電荷キャリア増倍が始まります。ここで発生するアバランシェ電流が、マルチステージゲート構造を利用してサイリスタを導通させます。これにより、内蔵BoDのブレークダウン電圧を超えるレベルの電圧が印加されたときには、LTTは安全に導通することが保証されます。 |
dv/dtの大きい電圧パルスは、容量性電流を発生させます。この電流が大きい場合、従来の電気トリガサイリスタでは、カソード領域のいずれかの部分で導通します。この望ましくない導通プロセスが発生すると、通常はサイリスタが破壊されます。インフィニオンのLTTでは、最も内側の増幅ゲートにdv/dtに敏感な領域を作っています。 基本的には、p-ベースのシート抵抗を局所的に調整することによってこれを実現しています。このようにして、定められたdv/dt能力を超えるdv/dt値を持つ電圧パルスがLTTに印加された場合には、内蔵dv/dt保護機能が働いて、マルチステージゲート領域を通じてLTTを導通させます。 |
新しいFRPコンセプトは、電流消衰から一定時間経過した後、LTTに対して周期的光パルスを追加して印加するという考え方に基づいています。光パルスは、必要なときだけでなく動作中に常時発生させています。異常なサージ順方向ブロッキング電圧パルスが印加されたときには、寿命の長い電荷キャリアを光ゲートに発生させて、サイリスタを安全に導通させます。
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保護機能を内蔵した光トリガサイリスタ
- ブレークオーバダイオード(BoD)によって実現された内蔵過電圧保護機能
- dv/dt保護機能
- 追加光パルスによる新しい順方向リカバリ保護(FRP)
品質と性能が決め手
- 気温の高い中東から極地に至るまでの世界中で、過酷な条件において75件を超えるHVDCプロジェクトが実施されています。
- インフィニオンは15件のHVDC水力発電プロジェクトに参加して、約50GWの送電を行いました。
- また、8件のHVDC洋上風力発電プロジェクトに参加して、5GWを超える送電を行いました。
- インフィニオンのHVDCアプリケーション向けデバイスは、堅牢な設計と優れた生産プロセスによってきわめて高い品質と信頼性を提供します。