インフィニオン、Jiva Materials 社のリサイクル可能な PCB を採用 デモボードと評価ボードの電子廃棄物と二酸化炭素排出量を最小限に

2023年7月28日、ミュンヘン (ドイツ)

消費者、産業界をはじめとする各セクターから発生する電子廃棄物が増加しており、この環境問題に対処することは極めて重要であり、二酸化炭素排出量を削減し、持続可能性を促進することは、気候変動目標を達成し、環境保護を推進するための鍵となります。そこで、インフィニオン テクノロジーズ (FSE:IFX/OTCQX：IFNNY)は 天然繊維とハロゲンフリー ポリマーをベースとした、リサイクルと生分解が可能なプリント基板 (PCB)であるSoluboard® の導入により、より環境に優しい未来に向けて新たな重要な一歩を踏み出しました。この基板は英国のスタートアップ企業の Jiva Materials が開発したもので、エレクトロニクス業界の二酸化炭素排出量の削減に貢献します。

Soluboard® の植物由来 PCB 素材は天然繊維から作られており、従来のガラス系繊維よりも二酸化炭素排出量がはるかに少ないものです。有機構造体は無害なポリマーで包まれており、お湯に浸すと溶けて堆肥にできる有機物だけが残ります。これは PCB 廃棄物をなくすだけでなく、基板にはんだ付けされた電子部品を回収し、リサイクルを可能にします。インフィニオンは、デモボードや評価ボードに Soluboard® を使用することで、エレクトロニクス業界における持続可能な設計への貢献に取り組みます。

インフィニオンのグリーン インダストリアル パワー事業部 ディスクリート製品 プロダクト マネジメントの責任者であるアンドレアス コップ (Andreas Kopp)は「リサイクル可能な生分解性 PCB 材料が、民生用および産業用電子機器の設計に使われるのは初めてのことで、環境に優しい未来へのマイルストーンといえるものです。私たちはまた、ディスクリート パワー デバイスの耐用年数終了後の再利用可能性についても積極的に研究しています。これは、エレクトロニクス業界において循環型経済を推進するための更なる重要なステップとなるでしょう」と述べています。

Jiva Materials の CEO 兼共同創設者であるジョナサン スワンストン (Jonathan Swanston) 氏は「水を用いたリサイクル プロセスを採用することで、貴重な金属の回収量を増やすことができます。さらに、FR-4 PCB の材料を Soluboard® に置き換えることで、炭素排出量が 60 ％ 削減されます。具体的には、PCB 1平方メートルあたり10.5 kgの炭素排出量と 620 gのプラスチックを削減できるのです」と述べています。

現在、インフィニオンはこの生分解性素材をデモボードや評価ボードによる二酸化炭素排出量削減のために使用していますが、エレクトロニクス業界をより持続可能なものにするため、すべてのボードにこの素材を使用する可能性も模索しています。これは、欧州委員会の「グリーン ディール」アジェンダにも沿ったものです。このアジェンダは、循環型経済を私たちの生活の中心に据えて、EU経済の環境対応を加速させることで、2050年までに気候中立を達成することを目指しています。さらにインフィニオンでは、電気電子機器廃棄物に関する EU 指令 (WEEE) に従い、製造した電子製品の責任ある回収とリサイクルに取り組んでいます。

インフィニオンは、Soluboard® 技術を使用した 3 種類のデモボードを製造しており、今後数年間で提供する製品を拡充する予定です。同社のパワー ディスクリートのポートフォリオのひとつとして、すでに 500 以上のユニットが使用されており、その中には冷蔵庫専用のコンポーネントを搭載したボードもあります。現在進行中のストレス テストの結果に基づき、Soluboard® から取り外したパワー半導体の再利用とリサイクルに関するガイダンスを提供する予定であり、これにより電子部品の寿命を大幅に延ばすことができます。

この研究により、インフィニオンは、お客様がコア アプリケーションで新材料を使用する際に直面する設計および信頼性の課題に関する基本的な理解も得ることができるようになります。特に、持続可能な設計の開発に貢献する新しい知識は、お客様にとって有益となります。

Jiva Materials と Soluboard® の詳細については、 https://www.jivamaterials.com/about/ をご覧ください。