ドア制御

ドアの電子制御は、自動車の車室内機能性に不可欠な要素です。ドアの電子制御で車両へのアクセスを制御し、ドライバーの利便性を向上させます。最新車両のドアには、制御、診断、保護機能が必要なアクチュエーター、センサー、照明、スイッチ負荷が含まれており、こうした機能はドア制御モジュールで実現されています。

ドア制御モジュール (DCM) の優れた機能には、次のようなものがあります:

• 安全機能を備えたウィンドウリフト (巻き上げ/巻き下げ用)。身体の一部が挟まらないように検知・防止する機能を備えています。ウィンドウ リフトは、スタンドアローンで機能することもあります。
• ドアロック (例: 運転席、助手席、後部座席のドアのロックまたはアンロック、後部座席のセントラルロックやチャイルドロックの制御)。車両の出入り口を制御するもう一つのモジュールは、スマートパワー クロージャー モジュールです。
• 運転席側のドアスイッチ パッドは、車内のウィンドウ、ドアロック、ミラー調整のセントラルコントローラーとして機能します。
• ミラー調整は、運転席および助手席のミラーを、水平および垂直方向に移動させたり、ミラーを折りたたんだりすることです。こうした機能はスタンドアローンで機能することがあります。
• ミラー デフロスター (曇り止め) は、気温が低いときにミラーを温める機能です。
• エレクトロクロミック防眩ミラーは、夜間、後方から接近するヘッドライトのまぶしさを自動的に制御します。
• 照明 (例: 夜間に車両から降りる際にドアやミラーを照らすためのランプ、室内の照明やミラーなど)

ドアコントロールモジュール(DCM) に安全性と快適性を高める機能がさらに搭載されるようになり、基本的なものからプレミアムなものまで、革新的な統合ICや信頼性の高いパワー半導体に至るまで、スマートで最適化されたパーティショニングに対するニーズが高まっています。電源、通信、センシング、アクチュエーション、制御、静止電流の目標値など、さまざまな要件を満たすには多くの課題があります。DCMを最小スペースで、かつ低消費電力と低静止電流で実現するには、機能の統合が設計上の重要な要素となります。インフィニオンは、ドアエレクトロニクスにおける有能なパートナーです。お客様の機能ニーズに合わせ、ディスクリートから高集積まで、スケーラブルな製品ファミリーの包括的な製品ラインアップを提供しています。

• OPTIREG™ SBC (システム ベーシス チップ) は、トップレベルの低い静止電流で、システム電源、通信インターフェース、診断機能、スイッチング機能、フェイルセーフ出力を１チップに集積しています。
• OPTIREG™ Linearは、バッテリー接続の自動車用アプリケーション向けに、きわめて低い静止電流、広い入力電圧、最低ドロップアウト電圧を備えた高性能リニア電圧レギュレーターです。
• 車載用LIN通信およびCAN通信用の物理インターフェースとモジュール式通信インターフェースで、基本要件およびプレミアム要件に対応しています。
• BDCモーター用のMOTIX™ モーターシステムIC (SBC) は、ハーフブリッジゲートドライバーに、電源、通信、診断、スイッチング機能、フェイルセーフ出力を組み合わせたものです。
• MOTIX™ マルチハーフブリッジICは、統合された制御、保護、診断機能により、SPI経由で最大12個のハーフブリッジを制御します。
• MOTIX™ マルチMOSFETゲートドライバーICは、最高レベルの低い静止電流で、(外付MOSFETを使い) 最大8つのハーフブリッジを制御します。
• 大電流駆動用 OptiMOS^TM Nチャネル車載用MOSFET
• MOTIX™ シングル ハーフブリッジIC 低抵抗保護機能付きシングル ハーフブリッジ スイッチ (MOSFET内蔵)
• PROFET™およびSPIDER™による照明制御
• XENSIV™ ホールセンサーは、ウィンドウリフトの位置 (方向と速度) を追跡します。

多くのパワーモーター制御設計と同様に、その重要な側面のひとつは、PWM動作時のEMC放射の制御です。インフィニオンのMOTIX™製品 (マルチMOSFETゲートドライバーICおよびモーターシステムIC) は、EMC性能を維持しながらスイッチング電力損失をも効果的に低減する、革新的なアダプティブMOSFET制御機能を搭載しています。マルチMOSFETゲートドライバーICは、集積設計における熱のホットスポットをデカップリングすることで、熱効率を高める手段も実現しています。電源、通信、ゲートドライバーから電力段 (MOSFET) を分離するのが、その一例です。ハーフブリッジ構成の新しいMOSFETファミリー (IAUC60N04S6ファミリー) で、レイアウトを容易に、EMCフィルタリングを最小限にできます。

ドアモジュール設計者にとって、更なる課題となるのが、自動車メーカーのプラットフォーム戦略による設定可能なバリエーションの増加です。単一のPCB設計で、多様なバリエーションに容易に対応するには、製品ファミリー内でのスケーラビリティが必要です。インフィニオンのTRAVEO™ T2G マイクロコントローラー ファミリーは、柔軟なプラットフォーム設計に対応した、幅広いメモリおよびI/O機能を備えています。また、マルチハーフブリッジ、MOSFETドライバー、ハーフブリッジのMOTIX™ファミリーは、市場で最も拡張性の高いハーフブリッジのラインアップになっています。最後に、ドア制御モジュールの低い静止電流には、最適化されたウェイクアップ動作モードと低電力スタンバイ動作モードが必要です。TRAVEO™ T2G MCUファミリーのハイバネートモード (標準5 µA) により、これらの動作モードを容易に実現できます。

挟み込みを検知できるようにし、安全な機能性を確保するには、正確なウィンドウ位置の検出が必須です。そのため、1つのセンサーから速度と方向の情報が提供できるXENSIV™ホールセンサーは、ドアモジュールに最適な選択肢となります。